私たち執事をもつ者には
年に一度、自分の執事を世の人々に
紹介することを義務付けられている。
一般的には”執事品評会”と呼ばれていて
主催しているのは執事養成所。
毎年都内のホテルを貸し切りにして
盛大に行われるパーティーだけど、
その主な目的としては
優秀な執事たちを紹介することによって
まだ執事を持っていないお嬢様やお坊ちゃまに
養成所にオファーをさせること。
私や駿くんや流星は
自分の執事と契約するのと同時に、
養成所からのこの義務を誓約書で誓わされている。
まぁ要するに養成所の未来に
貢献して下さいね、ってこと。
別にいいんだけどさぁ、
ひとつだけどうしても納得いかないのよ
『なーんであんたが最高ランクかね?』
恭平「俺に聞くなよ」
執事たちには
みんなそれぞれのランクがあって、上から
♠(スペード)
★★★(トリプル)
★★(ダブル)
★(シングル)
って位置付けられてる。
で、何故か私の執事は最高ランクの♠
これが私にはどーーーーにも納得いかない
恭平「別にランクなんか興味ねぇよ。
やることやってるだけだし」
『今度の品評会で大失敗して降格してみれば?』
恭平「お前なぁ…それ主が言うセリフじゃねえから」
品評会のメインイベントは2つあって、
ひとつは養成所にいる見習い執事たちの紹介。
毎年選抜された数名の見習い執事たちが
公の場で紹介される。
そしてもうひとつは、すでに執事として
外で働いてる者たちのランク決定式。
毎年一つのテーマが設けられていて
その出来の良し悪しでランクの昇格と降格が決められる。
『…う!!く、苦しいっ!!』
恭平「…お前太った?」
『ま、まじで…』
今年のテーマは”舞踏会のドレスコード”で
各執事が主人に見合った衣装を作る。
そのために今風磨が私の採寸してるんだけど
ウエストにメジャー回した瞬間
思いっきし締め付けるから息が詰まるし
なんか太ったらしいし最悪極まりない。
恭平「よし、もういいぞ」
『今日から野菜中心のメニューにして』
恭平「…そんな簡単に痩せねーと思うけど」
『いーの!!命令!!』
品評会までに少しでも絞らないと…!!!
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。