前の話
一覧へ
次の話

第36話

私の小さな嘘2
2,287
2020/07/07 13:24






日が暮れて宴会もお開きになった。





マムはあの後モモちゃんに追いかけ回されて

疲れたのか玄関の定位置で丸くなって眠っている。





私はやる事もないし、

とりあえず後片付けを手伝うことに


とは言っても拓哉くんと長尾ちゃんが

帰り際にほとんど片付けてくれてたから

大してやることないんだけどさ







『祭りの後は寂しいねぇ』

恭平「まぁね」





厨房のカウンターに頬杖をついて

向かい側でティースプーンを拭いてる恭平を眺める。





恭平「そういえばあなたさ」

『ん?』

恭平「結局なんで閉じ込められてたんだよ?」

『…え、』





恭平が言ってるのは、執事品評会で

私が化粧室の奥に縛られてたこと。


犯人を捕まえようと思えば可能だったけど

それで気分が晴れる訳でもないだろうし

このことは恭平とモモちゃんに黙っててもらうことにした。







『…化粧濃いですねって言ったらあーなった』





カウンターに並べられたスプーンには

逆さまになった私が映る。




”恭平の悪口言われたのが気に食わなかった”

なんて口が裂けても言えない。





『…ぉわっ』





金色の自分と睨めっこしていたら

突然頭にズンと重さを感じて、

スプーン越しにそれが恭平の手なんだと分かる。







恭平「あんま心配かけんなよ」







それだけ言うと私の頭から手を離して

スプーンを棚へ戻しに行ってしまった。









『…心配したんだって』





厨房にひとりになった私は

一本くすねたティースプーンを

左手で左右に振りながら、

逆さまになった自分に小声でぼやいてみた。







プリ小説オーディオドラマ