第66話

バイト
不死川 実弥
不死川 実弥
………___雪流
雪流 あなた
んぇっ………もう朝………?
不死川 実弥
不死川 実弥
いや夜だ。悪ィ、先生寝ちまってた。
雪流 あなた
んん、そう………もうヨルか………よる。え、夜?は、あれっ、やだ私寝てたすみません。あ、おはよう。
不死川 実弥
不死川 実弥
だいぶ会話がとっ散らかってんなァ。

先生との会話に意識を引っ張りあげられて上半身を起こす。
机に突っ伏して寝ていたせいで両腕がじんじんと痛む。

オレンジ一色だった黄昏時の景色から一転。窓の外は日が落ちてまさに夜といった雰囲気。

今、何時だろう。

先生の肩越しに見える時計に目を向ける。八時三十七分。あれから役三時間も経っている。どんだけ寝てたんだ私達。
不死川 実弥
不死川 実弥
鱗滝さん………用務員て言えばバカなお前も分かるかァ?
雪流 あなた
ひどいね先生。
不死川 実弥
不死川 実弥
風邪で寝込んじまってるみてェでよォ。こんなこと言うのも言い訳ごましいが、今日は俺が見回りと戸締まりの当番だから起こしにくるやつ教員もいねェんだわ。

先生はガバァと頭を垂れて「すまん」と低い声色で言った。
私は『いえ』とか『そんな』なんて曖昧な返事をしながら先生πで長時間寝れるとかどんな筋力してんだろ………などとどうでもいいことを考えていた。





ん?



唐突に頭の中が晴れる。
寝ぼけていた意識がはっきりする。
もう一度時計を確認する。

八時三十九分。


八時三十九分!?

雪流 あなた
あーーーーー!!!
不死川 実弥
不死川 実弥
んだよ急に。
雪流 あなた
バイト!!!
不死川 実弥
不死川 実弥
バイト?!!

しまった寝ぼけて忘れてた。
何を隠そう私はこれからバイトなのだ。
入り時間は九時。
学園からそう遠くはないと言うものの後二十分。
急げばギリギリ間に合うかもしれないがかなりヤバい。
まずい。遅刻はしたくない。
ママさんに土下座することになる。

不死川 実弥
不死川 実弥
うちは原則バイト禁止だろうがァ!!
雪流 あなた
見逃してください!事情が!!退っ引きならない事情があるの!!!
不死川 実弥
不死川 実弥
事情ォ!?何だその事情って!

私は超高速で帰る支度を済ませすぐにドアへ
雪流 あなた
生活費のためです、先生さようなら、また明日!!!
不死川 実弥
不死川 実弥
ちょ、待て、雪流!!!

雪流。
そう私の名前を呼ぶのと同時に私の腕を掴む。
振り返って先生を見上げる。

頭ひとつ分以上高いところにある鋭い両眼が真っ直ぐにこちらを見つめている。掴まれた腕が少しだけ、熱い。
不死川 実弥
不死川 実弥
送ってく。
雪流 あなた
へ………?
不死川 実弥
不死川 実弥
ジャージ履いて裏門で待ってろ
雪流 あなた
えっ、ジャージ、え!?待っ、先生………ちょ、不死川先生!?………行っちゃったし、もう姿見えないし足速っ。



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雨沙璃
雨沙璃
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○月○日

先生足速っ。

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少なくともお前よりは速い自信がある。