第76話

自分なりのケジメ。

迷惑かけてすみませんでした。
少し安定してきたのでまた今日から投稿していきます。


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今度は私が説得する番だった。
十日以上に渡る説得の末、施設を出てひとり立ちさせてもらうことをどうにかこうにか承知してもらい、高校を探し始めた。

当時行っていた中学も中高一貫校で、担任の先生も戻ってこいと言ってくれたが私は戻らなかった。自分なりのケジメだ。

大人の人たちが『通っていい』『戻っていい』と言ってくれたから学校に行くのではなくて。

安心させたい人がいるから、大切に想ってくれる人に恩返しをしたいから。

自分が学校に『行きたい』から行くのだと、ようやく心に意志を宿すことができたから。
雪流 あなた
でも、現実はそう甘くはなかった。当たり前だよね。中学もろくに行かず、働いて、国からの支援があるとはいえ、卒業までちゃんと通いきれる保証がない人間なんて受け入れてもらえる筈がなかった。

様々な学校に電話をかけては断られ、途方に暮れる日々。しかし、そんな時だ。ある通信制高校の先生からキメツ学園を紹介された。

電話をしてみるとすぐに学園での面談が決まり、ドキドキしながら校門をくぐったことをよく覚えている。

私が事情を説明し終わると、理事長先生はただ微笑んで『学園うちへおいで。もう何も心配いらないよ』と言ってくれた。

ご厚意で入学金その他諸々の学費を後納入可(──しかも期限は生涯の幕を閉じる迄にだ)にしてもらっただけでも有難いのに、通常高校生では不可能な深夜帯のバイト先まで紹介してくれた。

 理事長先生には、一生足を向けて寝られないし、私の生涯をかけてご恩を返していきたいと思っている。

 こうして私は晴れてキメツ学園の生徒となり、無事入学することができたのだった。

そうして私は今、ここにいる。