第67話

思春期のお嬢さんには刺激が強すぎます。

取り敢えず先生に言われた通り、スカートの下にジャージを履いた。

それにしても____
雪流 あなた
(何でジャージ?)

先生はいつも車で送ってくれる。
果たしてジャージは必要なのだろうか?

疑問の答えはすぐやってきた。

眩しいヘッドライトがふたつ。
獣の咆哮のような音と共に、印象的なグリーンの車体が滑り込んでくる。先生によく似た鋭いフォルムのバイク。大きな二輪のタイヤが地面を擦り、焦げたアスファルトの匂いが辺りに立ち込める。
不死川 実弥
不死川 実弥
乗れ。
雪流 あなた
は?先生バイク持ってたっけ?
不死川 実弥
不死川 実弥
あァ、少し前に修理から戻ってきたんだわ。
雪流 あなた
本当にいいの………?
不死川 実弥
不死川 実弥
じゃなきゃ俺の気が済まねェ。詫びだと思ってよォ、ここはひとつ送られてくれや。必ず間に合わせる。

うわあ、かっこよ。
そんな侠気おとこぎ溢れる送り文句言われたらもう乗るしかあるまい。全国の送りオオカミ諸君には見習ってほしいぐらいだ。
雪流 あなた
失礼します………
渡されたヘルメットを装着し、おずおずとバイクの車体を跨ぐ。

ジャージってこういうことだったのか。
合点がいき、一人頷いていたのも束の間。
不死川 実弥
不死川 実弥
オイ。
と呆れたような声が聞こえ月明かりに照らされた銀髪がこちらを振り返った。
不死川 実弥
不死川 実弥
振り落とされて死にてェのか?

それもそのはず。私は先生から最大限の距離をとってバイクに跨っている。

私だって高三だバイクの二人乗りがどんな体制になるかぐらい知っているし、ライダーとタンダマーの距離感がどういう風になるかも知っている。

だからこそだ。先生の腰に手を回すだなんて小っ恥ずかしくて無理すぎる。
考えただけでも顔が熱くなる。
不死川 実弥
不死川 実弥
時間ねェんだ。ウブなのは愛らしくて結構だがとっととこっち来いオラ。
雪流 あなた
っわ!

トンッ__と先生の背中に左頬が当たった。
急に左腕を引っ張られてバランスを崩したのが原因だった。

掴まれた腕はそのまま先生の腹部に押さえつけられて、実質抱きついている形に変えられてしまう。反射的に振り解こうとしたけれど、これがまるでビクともしない。

さすがはスマブラ事件の不死川実弥。
握力腕力共に尋常じゃない。
逆らってはいけない教師ランキング堂々の第一位も頷ける。ちなみにこれは余談だが殿堂入りは悲鳴嶼先生だ。
不死川 実弥
不死川 実弥
下半身もっとくっつけなきゃマジで落ちるぞ。ニンジャの速さ舐めんなよ。
雪流 あなた
か、………っ下半身、っていわれても!
不死川 実弥
不死川 実弥
お前の膝と膝で俺の腰を挟めっつってるだけだろ。思春期のお嬢さんには刺激が強すぎるかァ?
雪流 あなた
〜〜〜〜〜! どうせ思春期だよ!

もうどうにでもなれ!とヤケを起こした私が指示通りの体制をつくると、先生は
不死川 実弥
不死川 実弥
はい、よくできました
と悪戯な声色で言ってみせてアクセルを全開にした。



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雨沙璃
雨沙璃
閲覧ありがとうございます!

○月○日

誰か私に穴を恵んでください、這い上がってこれないぐらい深いやつを………

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頭逝ったか。