前の話
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冬の寒さに別れを告げ、新しい命が生まれ始める春。僕、ブ・スングァンはこの季節が1番好き。色んなことにチャレンジしたくなったり、これからどんなことがあるのか考えたりするとドキドキするから。
でも一番の理由は、僕の好きな人を最高にかっこよくしてくれるからなんだ。
アメリカと韓国のハーフで、目を見張るほど整った顔をしている。笑った顔も、悲しげな表情も、何をしても絵になってしまう。
ー本当ムカつくぐらいかっこいいんだー
彼と知り合ってから毎年欠かさず一緒に花見をする。昔は、彼の考えが全て読み取れるほど単純な瞳だったのに、最近はその裏に何か隠れているような、そんな気がした。以前とは違う、大人の表情を浮かべて。
ー一体何を考えてるんだろうー
いつも側にいたはずなのに、急速に大人になっていく彼。僕だけ取り残されて、追いつきたくても追いつけない。こんなに好きなのに。どうしようもない不安が脳内を巡った。
時は過ぎて、お互い大人になって、君と見る何回目かの桜。君の恋人として初めて桜を見る。今僕はちゃんと肩を並べられているだろうか?横にいる彼をちらりと盗み見る。
ーああ、やっぱりー
見事な桜が飾りに見えるくらい君は美しい
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。