第146話

舐めんな
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2021/04/07 12:00



あなたside




『怖い、』




そう声に出した気持ちは紛れもなく本音で
今回みたいに周りの人の名前や思い出を忘れていくのも
それを大吾たちに見せることも怖い、



もし、明日
大吾の名前を、望の名前を、
まっさんの、照史くんの、丈くんの、誠也の、
康ちゃんの、紫耀や廉の、
なにわのメンバーの、
共に足掻いてきた関西Jrのメンバーの
名前を、思い出を忘れてしまったら
そう考えるだけで手の震えが止まらん




「そんなん....、」




かすかに聞こえたのは、
今まで少し遠くから私を見つめていた望の声やった




視線を合わせると、望の目力に驚いた




「そんなん....、
そんなんどうでもええ」


『え、?』


「あなたが俺の名前忘れたって、
今までのこと忘れたって、
そんなことどうでもええねん

そんなんまた覚えてもらえばええ話やし、
思い出やって、また作ればええ

第一、俺さえ覚えときゃええねん



もちろん、忘れられたらキツい、

やけど
あなたが後悔し続けることの方がよっぽどキツい、
あなたのそばに居れやん方がキツい

やから辞めたないんやったら続けたらええし、
そんでも辞めたいって言うんやったら辞めたらええ

俺らのこと舐めやんといて、
そんなんで嫌になるほど弱ないし、
そんな程度の好きやないねん、

あなたがお母さんのそばに居続けたように、
俺らやってあなたのそばに居りたい

この気持ちをようわかっとんのはあなたとちゃうん?」



いつの間にか私の前に立った望は、
しっかりと私の目を見つめながらそう言った






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