第4話

三限目と、お手伝いと...
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2018/10/12 13:39






女子 「え、今日裕乃くん来ないのー?」


女子 「嘘、やだー!」


女子 「やる気失せたわー」





ある日の朝。
耳に飛び込んできた女子達の会話。

...今日裕乃来ないんだ。

ぽっかりと空いた隣の席。
窓から見える曇り空。
....なんとなく、裕乃に会いたくなった。

べ、別に変な意味じゃなくてね!?
ただ、隣がいないってなんか寂しいじゃん??
うん!そういう事だから!!!





柚香 「なに一人でわたわたしてんの?」


あなた 「!?...びっくりしたぁ、何?」


柚香 「いや、なんか一人で暴れてたから...」


あなた 「嘘!?」


柚香 「うん、嘘w」


あなた 「なんだ...焦った」


柚香 「てゆーか、あなたって分かりやすいね」


あなた 「なにが?」


柚香 「さっきから裕乃くんファンの女子達の話めっちゃ聞いてたでしょ?」


あなた 「....」


柚香 「ガン見してたよ?」





まじか...。
バレてたのかぁ...って、





あなた 「別に聞いてないよ!?たまたま聞こえちゃっただけだから!」


柚香 「はいはい、そういう事にしといてあげるよ」


あなた 「ほんとだからね!?」


柚香 「動揺しすぎでーすw」


あなた 「ちょっと柚香!からかわないで!」


柚香 「ごめん、ごめんwあなたが可愛くって」


あなた 「なに言ってんの...」


柚香 「なんか、裕乃くんはあなたにとって特別なんだなって思って。」


あなた 「...確かに、もっと裕乃の色んなこと知りたいって思ってる。なんなんだろうね、この気持ち」


柚香 「好きって事なんじゃないですかね?」


あなた 「いやいや、それは違うでしょ」


柚香 「...まあ、まだ気づかないよね...」


あなた 「?なんか言った?」


柚香 「ううん、今日朝会だよ?体育館行こー」


あなた 「...?うん...」





なんか最後に言ったこと聞こえなかったけど...
まあ、いっか!

...遅れてでも来ないかなぁ、裕乃...
って、やっぱり私おかしい!!?









......ガラッ!





裕乃 「すいませーん、遅れましたー。」


「「「!?」」」


女子 「わー!裕乃くんっ!」


女子 「来たんだー♡」


先生 「早く教科書出してねー」


裕乃 「はーい。」





...ほんとに来た。

現在三限目の数学I。
教室のドアが開いて見てみたら...裕乃がいて...。

なんだか胸がいっぱいになった。





裕乃 「おはよう、あなた。」


あなた 「お、おはよ...」





なんで顔覗き込んでくるの!?
...熱くなるじゃん...ばか。





裕乃 「なんで目逸らすの?こっち見てよ。」


あなた 「や、やだ...!」


裕乃 「俺が来て嬉しくないの?ねえ、あなたさーん?」


あなた 「う、うるさい...早く教科書出しなよ」





ああ、なんで素直になれないんだろう私。
素直に「嬉しいよ」って言いたいのに...今からじゃもう遅い?目、逸らしちゃったし...。





裕乃 「あなた、顔赤いよ?」


あなた 「...あんたのせいだし...」


裕乃 「え?」


あなた 「来てくれて...ほんとは、う...嬉しいよ?」





頑張って目を見て伝えた。

...私、今絶対真っ赤っか。変な人じゃん...





裕乃 「お、おう...」


あなた 「照れないでよ...!」


裕乃 「別に照れてねーし」


あなた 「嘘、耳赤いよ?」


裕乃 「あなただって顔とか耳とか首まで赤いし」


あなた 「な!?言わないでよ...」


裕乃 「先に言ったのそっちだろ?」


あなた 「そうだけど...恥ずかしいじゃん、ばか。」


裕乃 「馬鹿って言った方が馬鹿なんですー。」


あなた 「小学生みたい...w」


裕乃 「ははっw」





なんだかんだ最終的には笑って終わっちゃって...

この瞬間が、幸せだなーって感じるんだよね。









キーンコーンカーンコーン...





朔 「ちっ...まじうざいんですけど」


美羽 「ほんと、それ。なにあいつ。」


彩音 「この間、裕乃くんがちょっと助けてくれたからって調子のりすぎ。」


美羽 「...絶対潰すから。」









柚香 「あなたー!お昼食べよー」


あなた 「うん、食べよー!」


柚香 「今日はなに弁当?」


あなた 「今日はね、ミニオムライス入ってるんだー!」


柚香 「え、いいな。ちょーだい??」


あなた 「じゃあ、柚香のその出し巻き卵もーらい!」





いつもの感じで向かい合ってお弁当を食べる。

んー、オムライスも出し巻き卵も美味しい...!!
お昼って最高だなぁ...





先生 「ちょっと暇な人いなーい?」





突然、教卓から先生の声。
なんだろ...?


あなた 「ん、なんだろーね?」


柚香 「ね。お手伝いじゃない?」


あなた 「やるか」


柚香 「そーだね!」


あなた 「はーい、暇でーす。」


柚香 「私もー」


先生 「じゃあ一ノ瀬さんはこのダンボールを体育館に、佐藤さんはこっちのダンボールを三年生ホールに持ってってもらってもいいかしら。」


あなた・柚香 「はーい!」





ちょうどお昼食べ終わってたし、暇だったから行くことにした。

...でも体育館ってここから裏庭通って行かないといけないんだよね...行くか!





あなた 「よいしょ...って重!」


柚香 「え、嘘?軽いよ?」


あなた 「いや、こっちめっちゃ重い!」


柚香 「...まあ、頑張って!」


あなた 「はーい..」









はい、ただ今一階に繋がる階段まで来ました。
...ほんとに重すぎです、下が見えません。

落ちそう、滑りそう...怖い、怖い...

....やば





あなた 「っわ!!?」





見事に足を踏み外していっきに落下。
...死ぬ?骨折?...どっちもやだけど骨折の方がマシか...。

そう思いながら落ちていって...





ドッ!!!!!

めっちゃ鈍い音が聞こえた。

...あれ?いた、くない...?





「った...」


あなた 「うぅ...」


「...なんだよ」


あなた 「あ、ごめんなさっ...いたっ」





すごく思いっきり足首を挫いたみたいです...。
めっちゃ痛い、激痛すぎて動けない...!!

なんとか押し倒した人からどくことはできたけど。


しかも押し倒しちゃった人、裕乃の親友の人じゃん...。
強面で有名なんだよなぁ、この人。

名前は、四宮 春樹しのみや はるきさん。

...ごめんなさいって言いたいけど、痛すぎて喋れない...





春樹 「大丈夫かよ、あんた...」


あなた 「...っ...」


春樹 「...なんか言えよ、なに?」


あなた 「ごめんなさ...痛、くて...」


春樹 「ほんとに平気かよ...って、あんた裕乃の...」


裕乃 「おい、春樹ー!置いてくなよー!!」





向こうから裕乃が急ぎ足でこちらに来ている。

...恥ずかしい、笑われるかな...?





裕乃 「え、あなた?」


春樹 「なんか階段から落ちて来たみたいだぞ。えぐい方向に足首曲がってた。」


裕乃 「あなた...大丈夫か?」





...え?
心配してくれてる...笑われるかと思ったのに。





あなた 「ごめ、今立つから...」





頑張って立とうとしてもどうしても立ち上がることが出来ない。





裕乃 「無理すんなよ、ほら保健室行くよ」





裕乃におんぶされて保健室に行くことになった。





春樹 「は、俺は?」


裕乃 「そのダンボールを運ぶ役目。」


春樹 「...どこに」


あなた 「た、体育館です...」


裕乃 「だって、よろしくな」





あんまり揺れないように歩いてくれている裕乃。
...春樹さんも、意外と優しい人だった。





あなた 「いつもいつもごめんね...」


裕乃 「だーかーら、守るって言ってるじゃん。」


あなた 「...でも、裕乃の事好きな人に申し訳ないよ...」


裕乃 「俺はあなたのことが一番大切なの。」


あなた 「......ほんと、ずるいなぁ...」





最後は聞こえないぐらい小さな声で呟いた。









この後、保健室で手当てされて教室に帰るときにはなんとか歩けるようになってた。



柚香に心配されたけど、「大丈夫」って押したら納得してくれた。
柚香は、自分の分が終わった後に春樹さんのも手伝ったみたい。

...ほんと、皆には感謝しかないな。





でも、おんぶされているところを...見られていました。

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