第11話

突然の...
300
2018/11/22 01:08



「「「ありがとうございました!!」」」





なんとか今日のダンス練習は足を引っ張らないでできたみたい!
よかったぁ...!!





柚香 「あなた、急に成長してるよ!すごい!!」


あなた 「そ、そーかな?...裕乃にサポートしてもらってるんだよね。」


柚香 「ははーん?なるほどー?」


あなた 「ニヤニヤしないで!」


柚香 「..でも、いいなぁ。あなた...」


あなた 「なんで?」


柚香 「好きな人と同じクラスで、席が近くて...おまけに距離近いし...?羨ましいよ、はぁ...」


あなた 「え?ま、まさか柚香...好きな人いるの?!」


柚香 「......うん。」





途端に柚香の頬がほんのり赤く染まった。
...か、可愛い!!





あなた 「誰?誰!?」


柚香 「ちょ、うるさいよ...!」


あなた 「教えて、教えて!」


柚香 「あの.....春樹、くん。」


あなた 「春樹くん...?あ、裕乃の友達?」


柚香 「うん...」


あなた 「え、あの人なんか怖くない?」


柚香 「た、確かに強面だけど...前にあなたが怪我してさ、私と春樹くんが代わりに荷物運んだときに話したら、意外と趣味が合うんだよね。雑貨見るの好きとか、カフェ巡り好きとか...」





え、意外すぎる。
あの人柚香とめっちゃ気合うじゃん!!





あなた 「柚香、頑張ってね!」


柚香 「頑張ってみるよ、もちろん。」





いつも元気でピンピンしている柚香がここまで小さくなるってことは、本当に好きらしい。
...裕乃の友達なら、いい人そうだし安心かな...?
(謎の親目線...w)









あなた 「...ねむ。」


佐倉 「大丈夫か?体育頑張ってそうだもんな。」


あなた 「なんでそう思うの?」


佐倉 「一ノ瀬って、ずーっとダンス苦手だろ?だから一ノ瀬なら頑張るんだろうなって思って。」


あなた 「...まだ全然ついて行けなくて...裕乃が助けてくれてるんだけどね、ほんと申し訳ない。」


佐倉 「...鈴木が?」


あなた 「?うん...」


佐倉 「俺の方がお前と一緒にいる時間長いんだから、俺に頼れよ。」


あなた 「!?」


佐倉 「いや、なんでもない。やっぱ忘れて...」


あなた 「じ、じゃあ...なんかあった時は話聞いてくれる?」


佐倉 「お、おう...!」





佐倉も突然なに!?..めっちゃびっくりした...。





あなた 「...佐倉。」


佐倉 「なに?」


あなた 「ありがとね」


佐倉 「...な、なんも感謝されることしてないし。」


あなた 「それでも!気にかけてくれてありがと」


佐倉 「あー、もう。分かったからやめろ...」


あなた 「佐倉はすぐ照れるねw」


佐倉 「はあ?うるせーよw」


あなた 「可愛いw」


佐倉 「...俺、可愛いよりかっこいいの方が嬉しいんだけど?」





さっきまで照れたり笑ってたのに、急に低音ボイス。
...あ、そっか。佐倉も立派な男子だった。





あなた 「ごめんね?佐倉も何かしらかっこいいよ。」


佐倉 「なんだ、それ」


あなた 「え?だってかっこいいの方が嬉しいって言ったから...」


佐倉 「...そういう意味じゃねぇよ。ほんと一ノ瀬って鈍感だよなー」


あなた 「はぁ?どこが鈍感?」


佐倉 「早く気づけよ。」


あなた 「なにに...」


佐倉 「まだ言わねぇー」





めっちゃ気になるところで切られましたとさ...。









柚香 「あなた、ばいばーい!」


あなた 「うん!塾頑張ってね!」


柚香 「ありがとー」





柚香が教室から出ていくところをなんとなく目で追った。
...あ、春樹さんじゃん。
柚香は頑張って挨拶したみたい。...春樹さん笑った。

春樹さんは、笑うと無邪気な子どもみたいな笑顔だった。...こりゃモテそうだなぁ。


柚香に心からエールを送りながら、私は体育館に向かう。
裕乃と一緒に行くと噂になるかもしれないから、別々に行くことにしてるんだよね。

...でもなんか、今日は違った。





あなた 「...っわ!?」





誰かにクイッと階段裏に引っ張られ、よろめく。
...なんとか足で耐えて、引っ張った人の顔を見ると...





あなた 「ひ、裕乃...?」


裕乃 「......」





裕乃だった。





あなた 「ど、どうしたの?体育館、行こ...?」


裕乃 「...黙って。」





なんか裕乃怒ってるし...!!
と、思ったのも一瞬だけ。





ふわっと香る裕乃の優しい匂いと、あたたかい温度。
...そして、唇に感じるぬくもり。





あなた 「ん...っ」





嘘...。私、裕乃と...
裕乃とキスしちゃってる?!!





あなた 「ちょ、ちょっと裕乃?!」





裕乃の唇が離れてから、動揺が隠せない。
なんで?なんでキス...?!





裕乃 「....あなた。」


あなた 「は、はい...」


裕乃 「他の奴に隙見せんな。」


あなた 「ど、どういうこと...!!?」





それだけ言って、また口づけ。

抵抗するべき...?...でも、抵抗したいと思わない。
本当はちょっとだけ期待してた。
...ヤキモチ妬いてくれてるのかな、とか...
これは、妬いてくれてるって思っていいの?
もっと期待しちゃうよ...


ぎゅっと目をつぶってぬくもりを感じる。

と、色んな考えがグルグル回ってたとき...





あなた 「んっ...!?」





酸素を求めて口を開けた瞬間、裕乃の..し、舌が入ってきて...
だめ、なんか....これ...。





あなた 「ゃ...っ、ん..ぁ....!」





全身の力が吸い取られてるみたい。
...なにも考えられない。

変な声出ちゃうし、身体の奥からジンジンしてきたし...
もう、だめ...!!!





あなた 「っ...ぷは..っ!も、急に..なに..どうしたの..?」


裕乃 「!!...俺、ごめん。」





一言だけ言い放ち、足早に裕乃はその場を去っていった。

...なに、今の..


私の意見は聞いてくれないの...?
「ごめん」ってなに?なにに対しての「ごめん」?

全てが突然で...意味がわからない。
...私が期待したのが悪かった?





裕乃.........?

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