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第8話

山神様の威容
待たせたな、人間達
檳榔子黒の着物を着こなし、鬼灯の花柄が描かれた長羽織りを上から羽織り、歩いてきたのは男性だった。声は低いが聞き取りやすい。あまり見ない金髪を月光に輝かせ、前髪が左目にかかってよく瞳が見えない。
…だがどこか不思議な雰囲気を持っている。これが山神の証なのだろうか
黄田 紗緒 (シャオロン)
!?…山神、様?
白弌 蘭 (ひとらんらん)
…え、本物?
シャオとひとらんが思わず縁側から離れる。腰を抜かしていたのは座って治ったのか、それとも無意識に立ってしまったのか。

…でも山神様と思われる人が出てきた瞬間に大先生が懐から煙管を取り出したのを俺は見逃さなかった。
空井 蒼 (鬱先生)
…ふぅ
大先生は縁側の近くに立っていた為、その位置からその人の足元辺りに煙管の煙を吹きかけた
緑屋 望 (ゾム)
ちょっ、大先生!何やって…!?
空井 蒼 (鬱先生)
本物なら動じひんはずや。この煙に
あれ、この香りは…香か…!にしては、嗅いだ事のあるような無いような不思議な匂いがするな…


…という事は、恐らく悪霊や悪妖になら効く特有のお香か何かを刻んで火をつけ煙を出したんだろう。予め用意してたって事は、山に行く前から何かに巻き込まれている線を疑ってたのか。


大先生はその人を睨みながらそう言ったが、その人は何も動じること無くその場に自分は本物だとも言いたげに佇むだけだった。軈てその煙は引いていったが、その人は煙を受けても何も変わっていなかった。
空井 蒼 (鬱先生)
…疑って悪かったよ。あんたは本物や
山神
信じてくれて良かった。その方が何かと都合がいいからな。
妖華 藍斗 (イト)
大先生、利用されたな…
信頼という前提の証に利用された。あの山神、最初から大先生が自分の事疑っとるって気づいとったな?あの口ぶりから察するに。
黄田 紗緒 (シャオロン)
ほんま…?流石山神様やな…
山神
さて、早速本題に入ろう。…そこの胆礬(青緑)色の着物の人間、お前なら何となく察しはついとるんやろ?
妖華 藍斗 (イト)
…そうですね。でも山神様にまで呼ばれる理由はよう分からんのですけど、何かやらかした…とかではないでしょう?
山神
そうだな。…まず、お前の体質について話そう妖華 藍斗。
妖華 藍斗 (イト)
…名前、知っとったんですか
山神
他の者は知ってる奴もいれば、知らない奴もいるだろう。…まぁ、俺が唐突に呼んだ事でこんな事になってしまったんだ。後はこいつらの悪ふざけも過ぎたろうからな。とりあえず緊張と警戒心は解いてくれ。話はそこからだ
覡(かんなぎ)
…まぁ、急に言われても無理な人は無理やろうからゆっくりでええで
と、山神様の後ろに控えていたさっきの巫女服の男性は付け足してくれた。…まぁ、エミさん、ひとらん、チーノ辺りはそうやろな。他の奴らは慣れるの早いだろうけど

その言葉に皆は安堵したのか少々顔を強ばらせていたのを解いたように見えた。俺は元からそこまで警戒心は持っていない…ただ、少し緊張していただけだったが、隣に猫君がいるとあの黒猫だと思えば心の拠り所になるからいい。
山神
…まず、話はお前の一族に関係するんだ。妖華一族。それは神や妖怪に最も近しいとされた人間の一族で、神からの伝言を人間に伝えたり、妖怪達と話す事が出来たり…と人間離れした能力を持っていた
俺の先祖から遡るんか…そんな壮大な話しやったんやな
山神
人間達からも神の配下として認識されていて、崇められ恐れられていた。その血は今も受け継がれているが、時代は過ぎ去り変化していく。軈て一族は普通の人間達と同じように生きたいと神や妖怪達の元から徐々に離れて行ったんだ
へぇ…まぁ確かに特別扱いされるより、俺もそっちの方がええな
山神
そしてこの江戸の時代。お前に受け継がれたその血は当初の一族の血統と違う血統が混ざった事によって少々変化してしまい、お前のその体質…つまり、妖怪を惹き付けやすい体質に変化したんだ。
あと補足しておくが、霊はお前には近づかん。特に悪霊はな。一族の血は神に近く清らかなものだったから逆にそういう穢れた奴は近づけんようになっている。…ただ、妖怪達からすればお前の気質は主や統領と言ったところだからな。悪意があれど無けれど今までのように近づいてきてしまうんだ
妖華 藍斗 (イト)
そうだったんやな…
黄田 紗緒 (シャオロン)
へぇ…妖華一族、ねぇ
緑屋 望 (ゾム)
血統の問題やったんやな…
橙河 智乃 (チーノ)
というか、妖を惹き付けやすいって初耳なんやけど?
空井 蒼 (鬱先生)
まぁ、お前らと会ってから…というか成人してからそういう出来事があんまし無かったからな。知らんくて当然やし、何なら知らん方がええんやないかっちゅう事であんま言わんようにしとったんや
栗川 瑛見 (エーミール)
そんな体質を持ってたなんて…成人してからって言う事は子供の頃は何度か危険な目に…?
妖華 藍斗 (イト)
まぁ、色々…な。そのせいでこいつらに迷惑かけてな
白弌 蘭 (ひとらんらん)
体質一つで離れていくような薄情な人間じゃないよ。…それに、そんな重要な事教えてくれなかったのはちょっと友人として悲しいな
そう言ってちょっと不貞腐れたような表情を浮かべるひとらん
妖華 藍斗 (イト)
いや…言ったら迷惑かかるかと思ってな
橙河 智乃 (チーノ)
そんな事無いわ!寧ろ黙ってた方が嫌やから何かあったら話してな!
栗川 瑛見 (エーミール)
そうですよ!隠し事はよくないです!
チーノとエミさんが俺の体質を全肯定してくれて、凄く有難かったし気が楽になった。
妖華 藍斗 (イト)
ははっ、そうやな。…ありがとうな、皆
山神
…随分いい友達を持ったようだな
妖華 藍斗 (イト)
そう、みたいですね
山神
では、次は俺の友人を紹介しようではないか。
緑屋 望 (ゾム)
この妖怪達の事か?
山神
そうだ。…ただ、俺達は種族名はあっても個人名は無いからな。俺が勝手に命名している。
九尾狐
ほんと、こいつ神の権限乱用し過ぎなんよ
覡(かんなぎ)
気に入って使ってるのはどこの誰だっけ?
白狼天狗
うぐっ…
山神
とりあえず紹介しよう。後ろに控えてくれてる覡が
覡(かんなぎ)
トントンです〜。俺は半人半妖やからこいつらの中で一番人間に近いんよ。ってことで、よろしゅうな
あ、服通り巫の人だったんか。にしても半人半妖…そんな人も居るんやな
山神
そして、あの声でかいうるさいやつが
鵺(ぬえ)
誰がうるさいねん!…あ、俺はコネシマっちゅうんや。よろしくな!鵺っちゅう妖怪なんよ
あぁ…鵺か!だからあんなに大きかったんか
山神
そして、あの糸目の九尾の狐が
九尾狐
オスマンめう。よろしくな
…めう。何だろう、初めて聞いたけどこの妖怪の人柄というか雰囲気に似合うな…
山神
そして、そこの小さい白狼天狗が…
白狼天狗
誰が小さいねん!お前が大きいんじゃ!
あ、俺はロボロっちゅうんや。仲良うしてや!
元気な人だな。子供のふりや言うとったけど元の人柄が幼げなんかな?
山神
そして、藍斗の隣にいる火車が
火車
ショッピっす。どうぞよろしく
あ、猫君の名前ショッピっちゅうんや。随分と響きが合うな…
山神
そして、俺がグルッペンだ!よろしく
覡(かんなぎ)
普段はグルさんとか、そんな感じで呼ばれとるんよ。この人山神様とかそう堅苦しいの嫌いやからグルッペンの方の呼び方で言ったげて
じゃあ、俺もグルさんって呼ぼうかな。その方が親しみやす…いや、神に親しみやすいも何もあるのか?…そこは考えない方がええんかな
山神
藍斗、ちょっとこっちまで来てくれ
山神…いや、グルさんにちょいちょいと手招きをされたので歩いて近づいて行く。
妖華 藍斗 (イト)
何ですか?
山神
これを付けていろ
妖華 藍斗 (イト)
これ、何です?
グルさんに渡されたのは綺麗な天然石の勾玉に紐を通し首にかけれるようにしたものだった。
山神
翡翠の勾玉だ。これに俺の神力も篭っているから大抵の妖怪は近づけない。今までの苦労は今後殆ど起きないと考えていいぞ
妖華 藍斗 (イト)
ほんまですか!?
黄田 紗緒 (シャオロン)
良かったな、イト!
緑屋 望 (ゾム)
神力も篭っとるんやったら絶対大丈夫やな!
空井 蒼 (鬱先生)
確かに、今までの事から解放される思ったら楽なんとちゃう!
グルさんと俺の話を聞いていた皆が自分の事のように喜んでくれた。喜ばしいし、これ以上妖怪関係でこいつらに迷惑をかけることが無くなると思うと安堵の息すら零れそうだ。
覡(かんなぎ)
所で、藍斗以外の奴の名前はなんて言うんや?
黄田 紗緒 (シャオロン)
俺は黄田 紗緒!
緑屋 望 (ゾム)
俺は緑屋 望
空井 蒼 (鬱先生)
空井 蒼や
栗川 瑛見 (エーミール)
栗山 瑛見です
白弌 蘭 (ひとらんらん)
俺は白弌 蘭
橙河 智乃 (チーノ)
橙河 智乃です!
妖華 藍斗 (イト)
まぁ、手っ取り早く…シャオ、ゾム、鬱先生、エミさん、ひとらん、チーノって覚えた方が楽やで
山神
…紗緒と瑛見はシャオロンとエーミールと呼んでもいいか?何となく呼びづらい気がしてな。
…グルさんあだ名の付け方上手ない?
黄田 紗緒 (シャオロン)
なんでもええで!
栗川 瑛見 (エーミール)
私もです!
覡(かんなぎ)
もう夜も深いし、この屋敷に今日は泊まって行きな。
九尾狐
でも、今日だけ呼ぶっちゅうのもちょっと味気ない気がせえへん?
山神
この六人の人間だけ屋敷へ来る事を許そう。好きな時にここへ来るといい、皆歓迎するぞ
そう言って俺達に微笑みかけてくれた。…もしもいいなら是非絵の意欲にも構成の為にも、そしてここの妖怪達に会う為にも来たいものだ
栗川 瑛見 (エーミール)
え、いいんですか!?
黄田 紗緒 (シャオロン)
ほんま!?やった!
緑屋 望 (ゾム)
ここ、何となく居心地よくてええなぁ〜と思っとってん!
空井 蒼 (鬱先生)
気が向いた時に来るくらいやったらええかもな
橙河 智乃 (チーノ)
でも来る時は町の人に気付かれないようにせえへんとな
九尾狐
最悪俺が化かすから大丈夫めう!
妖華 藍斗 (イト)
それ、大丈夫なんかな…
鵺(ぬえ)
まぁ、何でもええやろ!さ、一先ず入りや!
火車
あ、トントンさん。布団の準備手伝いますよ
白狼天狗
俺も俺も!
覡(かんなぎ)
おぉ、助かるわ。んじゃこっち来て手伝ってや

…傍からすれば奇々怪々な夜。俺はそれを自覚しながらも、この妖怪と神様は絶対に害は無いしいい人達だと確信しながら屋敷へ入った。


そして、その夜は客室にしかれた布団の中で過ごした


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サク
皆さんどうも、サクです
サク
前編終わったら秋も終わってました...(lll-ω-)チーン
サク
でも、この作品はまだ続けるつもりですので、季節感ねえぞこのヤロー!と思いつつも見て頂ければ幸いです
サク
それに番外編がちょくちょく増えてきてるんですよね。嬉しいのかよく分かりませんが、本編が終わった後に載っけようかなと考えています
サク
恐らく更新ペースは1週間に1度くらいになってしまうと思いますが、そこの所もご了承ください
サク
では、今回はこの辺で
バイバイ〜