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第10話

怪しき事件
若人
た、大変だ…!!
(この若人はコネシマさんではありません)

昼下がり真っ只中の少し賑わう町に、若人の男性の焦りが滲んだ声が響いた。町を散歩がてら誰か誘って山神屋敷へと行こうとした俺はその声に足を止める。
住民
何かあったんか?
若人
つ、妻が…山から戻って来たと思ったら玄関で事切れてて…
涙を薄ら眦に浮かべながらそう話す。

…は?何でそんな事が…
住民
何で山に行ったんや…?
若人
麓の辺りにある山菜を取りに行ったんです…やけに帰りが遅いからおかしいと思って探しに行こうと思ったら玄関付近で音がして…慌てて見に行ったら、もう…
哀愁と後悔を含んだ声色と、山への畏怖を感じ取ることは容易に出来た。
…でも、山神は無論そんな祟りのような事はしない。というか、それやられてたら俺なんかとっくに死んでる
住民
山神様の祟なんじゃねえか…?
誰かがそう声を上げる。
気付けば男性の周りに人がぞろぞろと集まってきていた。恐怖心は伝染する。不安感を煽る男性の声に皆は怯えたように顔を強ばらせた。
妖華 藍斗 (イト)
そんな訳ないやろ。その奥さん山に変なことしとらんよな?もしやっとったらただの自業自得ちゃうか
そんな訳ないやろ。という一文を強く言い俺はその若者に反論した。何とかこの空気を変えたかったから、俺は思わずそう声を上げた
若人
妻はそんな事していない!勿論俺だって!
妖華 藍斗 (イト)
…じゃあ、その奥さんの死体見せてくれへん?もしかして何か分かるかもしれんからさ
若人
わ、分かった…
…何だろう、何か変な感じがする。言葉ではよく表せないけど、俗に言う『嫌な予感』ってやつ?
それにこの男性、どこかおかしい気がするんよな…わざとらしいというか、嘘くさいというか。何故かさっきの重い空気を作り出す為に、不安を煽るように言ってる感じがあるというか…
妖華 藍斗 (イト)
杞憂やったらええんやけど…
若人
何か言いました?
妖華 藍斗 (イト)
いや、何でもあらへんよ
…胸騒ぎがする。後であいつらにも話をしておこう。そして山神屋敷へも行って話を聞いてみないと


そんな事を考えながら、若者の背を追っている内にその家に着いたみたいで、その若者は中へと入れてくれた。

妻が眠る部屋です。と通された部屋の真ん中には布団の上で横たわり、顔に白い布を被せている女性がいた。…ほんまに死んどるんか?
若人
すみません、触れる事は控えてもらってもいいですか?
妖華 藍斗 (イト)
あぁ、分かった
本当に亡くなっているのか確かめようと手を伸ばすも止められた。
妻を突然に亡くして精神的に過敏になってるかもしれんし、下手に手出しをするのはやめておこう。…まぁ、そういう演技かもしれんけどな
妖華 藍斗 (イト)
この奥さん持病とかは?
若人
無いです。凄く健康で丈夫な人でしたから
妖華 藍斗 (イト)
目立った外傷もなく…?
若人
はい。苦しそうに何か呟きながら、俺の目の前で息絶えました…
妖華 藍斗 (イト)
何て言っとったか分かりますか?
若人
確か、「かみのたたりがくる…」とか何とかって…
妖華 藍斗 (イト)
神の祟り?
若人
はい。そう言ってました
俺はその場で考え込んでも埒が明かないし、奥さんに触れられないのなら大した情報を得られないと悟り
妖華 藍斗 (イト)
…無茶言ってごめんな。見せてくれてありがとう
若人
いえ…
そう適当に声を掛け、玄関まで歩いて向かう。

藍斗が先を歩き、若者は見送る為か着いていく。



後ろを歩いていた若人は、ニヤリと気味が悪いほど口角を上げて藍斗にそっと手を伸ばす。その手が藍斗に届きそうになった瞬間

パチッと静電気のようなものが走り、藍斗に触る事を拒まれる

妖華 藍斗 (イト)
ん?あぁ、静電気か。もうそんな季節やもんな…あんたも乾燥には気いつけて下さいね
俺は左肩の辺りにピリッと小さな痛みを感じ、それが静電気だと仮定した。そして季節ならではの注意を促してから玄関を出た
若人
あ、はい
若人のそんな小さな声は一応耳には届いていた。其の声は沈んだ声でもなんでもなく、なぜか驚きの声に聞こえた。





先程若人が来ていた町の通りに戻ってくると、何故か住民が皆してざわざわと騒いでいた。
妖華 藍斗 (イト)
何があったんや…?
住民
あぁ、浮世絵の兄ちゃん!
妖華 藍斗 (イト)
おぉ、おっちゃん!…なぁ、何でこんなざわついとるん?
独り言を零していると、よく俺の絵を見に来て買ってくれるおっちゃんとばったり会った。
住民
それはな、さっきの若者の話を聞いた奴がもしかしてと思って山へ登って注連縄確認したんやと。したら何と、切れとったんやって!これは本格的に祟りかも…
妖華 藍斗 (イト)
んなわけないやろ!
住民
お、おぉ…でも兄ちゃんも気ぃ付けや。もしかしたらまた祟りが出るかもしれへんで?…怖い怖い
そう言っておっちゃんは自分の家の方向に向かって行った。
妖華 藍斗 (イト)
何かおかしい…


俺はその日の内に、シャオの店に五人を集め一から状況と自分の考えを纏めて話した。



栗川 瑛見 (エーミール)
…その若者の方おかしくないですか?
緑屋 望 (ゾム)
何がや?
栗川 瑛見 (エーミール)
だって目の前で奥さんがお亡くなりになったんでしょう?でしたら、もっと取り乱すはずですよ。もし奥さんで無くても皆さんだって目の前で人が死んだら誰かに伝える前にまず驚くでしょう?でも、その人は違かった。
確かに口ぶりではそうでしたが…これはなにか匂う気もしますね
空井 蒼 (鬱先生)
考え過ぎとちゃうん?じゃなきゃ本気で愛しとるわけやなかったとか。
橙河 智乃 (チーノ)
じゃあ大先生はグルッペンがやったと思うんか?
空井 蒼 (鬱先生)
いや全く?
黄田 紗緒 (シャオロン)
振り出しに戻ったやんけ…
でも、注連縄は俺らが行っとる時には切れてへんかったっちゅう事は誰かが切ったっちゅう事やろ?あそこの妖怪達が切るわけないもんな。理由もないし
妖華 藍斗 (イト)
そうなんよ…祟りなわけやないんやけど、それを証明しようもないからな
緑屋 望 (ゾム)
とりあえず、山神屋敷行って話聞いてみた方がええんちゃう?
妖華 藍斗 (イト)
じゃあ明日、俺が聞いてくるわ
空井 蒼 (鬱先生)
俺も一緒に行く。他の奴は町の様子とか変な噂とかもし流れとったら後で言ってや。
黄田 紗緒 (シャオロン)
おう!うちは人が来るからな、情報やったら流れてくると思うで
橙河 智乃 (チーノ)
うちもやな。もし有力なもんがあったら言うな
緑屋 望 (ゾム)
…じゃ、今日は解散やな
栗川 瑛見 (エーミール)
明日またここへ集まって情報を纏めましょうか
黄田 紗緒 (シャオロン)
おう
妖華 藍斗 (イト)
せやな
外が暗くなり始めた辺りに解散し、俺は家に戻った。





諸々を終わらせ、布団に入り目を瞑る。


その日は何故か不穏な胸騒ぎが警告音の如く止まず、中々寝付けなかった。


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サク
どうも皆さん、サクです
サク
作中にも書きましたが、水色の吹き出しの若人はモブの若人です。
まぁ、描写通りただのモブではありませんが
サク
あと、それに伴い1つお知らせ(?)を。

水色の吹き出しの「若人」と紫色の吹き出しの「青年」を、それぞれコネシマさん、ショッピさんとしてでは無く、モブとして扱う事がこの先恐らくあります。
サク
なので、今後はコネシマさんとショッピさんを「鵺」と「火車」としての吹き出ししか扱いませんのでご了承ください。
サク
という訳で、今回はこの辺で
バイバイ〜