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第7話

神山に住まう妖怪達
徐々に彼岸花で道端が彩られてきた。

赤く綺麗に咲くその彼岸花達は、俺達を歓迎しているようにも見えてくる。
若人
もうすぐで着くぞ
妖華 藍斗 (イト)
…皆、大丈夫か?特にゾムと大先生
緑屋 望 (ゾム)
俺は大丈夫や
空井 蒼 (鬱先生)
もうすぐやったら大丈夫や…
黄田 紗緒 (シャオロン)
大先生がんばー
空井 蒼 (鬱先生)
お前…!今すぐ振り落としてもええんやぞ…
シャオは結構元気になってるみたいやな。意外と精神的に安定しやすいからな、あいつ
栗川 瑛見 (エーミール)
まぁまぁ、もう少しですし…
橙河 智乃 (チーノ)
にしてもこの山って彼岸花咲いとったっけ?
妖華 藍斗 (イト)
咲いとらんよ。…チーノ、エミさんとひとらんも、多分これからもっと摩訶不思議なもん見ると思うからこんなんで一々驚かん方がええで
白弌 蘭 (ひとらんらん)
え…?どういうこと?
妖華 藍斗 (イト)
その内分かる
俺は一応チーノやひとらんにそう警告しておく。俺の経験上、そして山神様と言う事は今まで以上に不可思議な事を目撃すると思うから
若人
ほら、見えてきたで!
獣の青年の明るい声で顔を前へ向かせると、そこには…
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※囲むようにしてるのが屋敷。空白の真ん中にお社がある。(表現だけでは難しかったので簡単な図にしました。後は皆様の広い心の想像力で補ってくださると嬉しいです)

朱色の立派な明神鳥居の額束の文字は何かが書いてあった痕跡はあるものの褪せていて読めない。それすらも神の摩訶不思議な感覚がする。
妖華 藍斗 (イト)
でっかい鳥居…と屋敷?
空井 蒼 (鬱先生)
の真ん中に、お社も見えるで
黄田 紗緒 (シャオロン)
あっ、ここ神山の奥にあるっちゅう噂の山神屋敷ちゃう?
緑屋 望 (ゾム)
あぁ、そう言えばそんな言い伝えあったな
町の伝承には神山の奥地には山神屋敷という山神様が住むと言われている屋敷があると言い伝えられていた。そこへは人間は何人たりとも入れないのだと。

…まぁ俺ら入っちゃってるけど
栗川 瑛見 (エーミール)
まさか本当だったなんて…!
白弌 蘭 (ひとらんらん)
ここの神山についての伝承は本当だったんだな…
黒猫
さぁ、どうぞ鳥居を潜って下さい
と、俺の肩に乗る黒猫が喋る。…まぁ、元青年やし喋るんは何となく分かるんやけど…その姿で喋られると内心めちゃくちゃびっくりするからやめて欲しい…


そして、言われた通り全員が潜ると
白弌 蘭 (ひとらんらん)
!?…鬼灯が…浮かんでる?
花の鬼灯より一回りも二回りも大きい行灯のような大きさの鬼灯が、中に灯火を持ちながらふわふわと浮かび屋敷の外を照らすようにゆっくりと飛び回っていた。
黄田 紗緒 (シャオロン)
え、何何何!?何で!?
黒猫
行灯代わりの鬼灯の灯火です。妖術をかけているんですよ
妖華 藍斗 (イト)
妖術…なぁ
空井 蒼 (鬱先生)
やっぱ妖怪の類いやったんやな…お前とんでもないもんに好かれたな…
妖華 藍斗 (イト)
ほんまにすみません…
黄田 紗緒 (シャオロン)
まぁ体質やし、しゃあないっちゃしゃあないんやけど
緑屋 望 (ゾム)
ここまでは予想しとらんかったわ…過去最高の出来事ちゃう?
妖華 藍斗 (イト)
せやろなぁ…
黒猫
あぁ、自分の能力自覚してはるんですね
妖華 藍斗 (イト)
否が応でもな
若人
ほら、こっちや!腰抜かしとる奴は縁側に座らしといて大丈夫やぞ
鳥居を潜ってから周りに驚きながら歩いていると、先に屋敷のような建物に近づいていた先程の獣の青年がそう呼び掛けてくれる。

お言葉に甘え、シャオとひとらんをそこに座らせた。それ以外の皆は立ってシャオ達の近くに居た。声をかけてくれた青年は屋敷の中へ入って行ったが黒猫は俺の肩に乗ったままで居てくれた。

すると、
白狼天狗
あ、来たんやな。…ごめんなさっきは。ちょっと驚かし過ぎたわ…
そう謝罪の言葉を零しながら屋根の上から此方へ降りてきた。

その人はあの子供の妖怪だと思ってた者で、これが本性なのか白く長い毛のような尻尾と耳、そして顔の前には天と書かれた顔布を垂らしていた。

…この妖怪は恐らく
栗川 瑛見 (エーミール)
あ、さっきの怖かった子供…
白狼天狗
子供ちゃうわ!まぁ…さっきのは子供に見せかけたけどな
妖華 藍斗 (イト)
…白狼天狗。天狗の一種で又の名を木の葉天狗。その毛の白さから老いた狼が変化して成るものだとされとる……ちゃいますか?
白狼天狗
…!凄いな、大当たりや。妖怪について詳しいんか?
妖華 藍斗 (イト)
まぁ、ご存知の通りの体質のお陰ですがね
白狼天狗
ははっ、皮肉なもんやな~
緑屋 望 (ゾム)
へぇ、そういう妖怪なんか
白弌 蘭 (ひとらんらん)
…ねぇ、イトって何者なの?
黄田 紗緒 (シャオロン)
まぁそう言いたくなるわなw
空井 蒼 (鬱先生)
時期に分かると思うで
橙河 智乃 (チーノ)
そ、そうなん?
栗川 瑛見 (エーミール)
先程から言ってる体質…妖怪についての知識…か。
只管に戸惑う者、自分なりの知識を使い思考を回す者…それぞれだった。でも、一つ言うとすればエミさんの知識を持ってしても俺の体質を一発では分からへんと思うなー…

自分の事なのに何処か他人行儀に傍観していると、廊下から足音が聞こえてきた為振り返る
んー…何や騒がしいな……あっ、人間?あぁ、今日だっためう
眠そうなこわいろで屋敷の奥から廊下を伝って歩いてきたのは…
栗川 瑛見 (エーミール)
尻尾が九つ!?
橙河 智乃 (チーノ)
の、狐…?
黄色い耳と尻尾、茶髪の柔らかそうでゾムよりも長い髪を左耳元で少々垂らし後は結っている。糸のように細い一重と地顔が笑顔だからか、柔らかい印象ながらも何処かに妖しさを感じる。
妖華 藍斗 (イト)
…九尾狐か。九つの尻尾を持つ霊獣又は妖怪とされておって、長く生きれば生きる程尻尾の尾の数が増え、九尾はそれの最高と言われとる。…あっ
自分の体質でこういう事が起こるのが久しぶりだから、頭が混乱しないようにぼそっと口から零れる言葉。ハッと気付いた時には先程のように周りの視線が集まっていた
九尾狐
あぁ、君があいつが言ってた…だから詳しいんやね
白狼天狗
あ、これ返すわ。脅かす用に借りとってすまんな
そう言って白狼天狗は九尾狐に紅赤の御守りを手渡しで返していた。あの御守り九尾狐のやったんか。あぁ、だから化かせたんやもんな
九尾狐
いや、別に傷付けたり、無くさんかったらええで
白弌 蘭 (ひとらんらん)
へぇ…って言うか、そんな妖怪に会えてしまって大丈夫なのかな…
緑屋 望 (ゾム)
大丈夫ちゃう?危害加える気は無いんやろ。だからさっきの妖怪も謝ってくれたんやし
妖華 藍斗 (イト)
とりあえず山神のお呼びの内容を聞かんと帰れんと思うし。会う妖怪に驚いてちゃあ心臓持たへんよ
橙河 智乃 (チーノ)
確かにそうやな…頑張るわ
そこで妖怪達と合流しながら話していると、縁側の後ろの障子が開いた
あ、もう来とったんやな。ちょっと待っとってな。お前もここで待っとれ
若人
ほーい
そう声をかけてきたのは巫女服を来た男性と、先程の化け物から人間に変化した青年だった。

巫女服の男性は、その青年を残してまた襖の奥へ消えていった。
若人
お前ら、来とったんか!寝てるか思ったわ
九尾狐
俺は寝かけとったけどな
白狼天狗
肝心のあいつはまだ来とらんの?
若人
もうちょいやって。連れて来るやろ

九尾と天狗と獣の青年が会話している。その話についていけない俺らは、この異常なような幻想のような空間の雰囲気を心のどこかで楽しんでいた。

浮かぶ鬼灯、見慣れぬ妖、大きな屋敷とお社…非日常もいい所なここは、何故か凄く居心地が良いように感じた。

吸う空気が澄んでいる。山神様がいるお陰なのかもな。
妖華 藍斗 (イト)
そう言えば、お前は何の妖怪なんや?見たとこ化け猫か猫又か…ってとこなんやけど
あの時尻尾が二つになっているように見えたのは決して気のせい何かでは無かった。現に俺の肩に乗っているこの黒猫は尻尾が割れているように二つついている。
黒猫
惜しいっすね。…そろそろあの人来そうなんで俺も戻らな
そう言うと黒猫は俺の肩から離れ、またあの煙を出して人間へと戻った。

その青年は俺と同じくらいの身長で、茶髪の青年になった。だが耳と尻尾は出したままだ
妖華 藍斗 (イト)
で、結局何の妖怪なん?
青年
火車…って知ってます?
妖華 藍斗 (イト)
あぁ…あの悪行を積んでしまった人間の亡骸を奪って食うっちゅう妖怪か。てか、現世にいるんやな。地獄におるんかと思っとったわ
青年
まぁ、食うだけですし現世に居た方が変な縛りも無くて楽なんすよ
妖華 藍斗 (イト)
へぇ…じゃああの化け物青年は何の妖怪なん?
青年
あぁ、あの人は…っ!
そう喋りかけた時、猫君の耳がピンと立ったのが見えた。…あぁ、山神様が来たのか



俺は瞬時に縁側の襖に目を向けると
…待たせたな、人間達