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2021/09/10

第2話

一話 目が覚めたら
目が覚めたら見知らぬ天井……なんてのは、場面転換の最初の一文に出てくる言葉だろう。
記憶を失ったこともなければ、倒れたこともない自分からすりゃあ、現実で使う場面なんて無いだろうと思っていた。
と言うのに─────────
灰峰
灰峰
(まじかぁ。何処だここはー)
自分は何処かのベッドに横になっているらしく、上半身を起こすと、見覚えのある黒い狐がベッドの傍の椅子に座っていた。
くろのすけ
くろのすけ
目が覚めたみたいですね
灰峰
灰峰
……もしやまっくろくろのすけ?一応聞くけど、夢?
くろのすけ
くろのすけ
くろのすけです。そして現実です
灰峰
灰峰
なら、“成功”したってわけかなー
自分は“三次元”のごくごくふつーの、何の取り柄もないただの人間だ。仕事から帰ったあと、暇つぶしも兼ねて行きたい世界に行くいわばトリップ方法とやらを試した。
勿論、社会人になったってのに虚しいなーとか成功しないんだろうなーと、期待していたわけじゃない。人だってたまには非現実的な馬鹿げたことを信じてやってみたくなるものだろう。
信じていなくても、あったら面白いだろうなーといった具合で試しただけなのだが、今の状況から察するに成功してしまったらしい。正直驚いているし、嬉しくもある。
因みに、自分が試したのは紙トリップ方法で、前々からハマっていた“刀剣乱舞”と言うゲームの世界に行きたいと書いた。
目の前にいるくろのすけは、刀剣乱舞に出てくるマスコットキャラのうちの一匹だ。
灰峰
灰峰
(つーか、俺の髪色違くね?長くね?)
自分がどんな姿をしているのかはまだ知らないが、長い髪や髪色から三次元での姿とは違うのだろうと気付く。あと、下半身に違和感があるのにも気付いた。
灰峰
灰峰
(え、待って。まさかとは思うけど、本来無いものがあったりします?性別まで変わってたりします?)
くろのすけ
くろのすけ
僕は貴方の正体を知っています。貴方は“数多の集合体で生まれた新たな刀剣男士”として政府によって顕現されたことになっています
灰峰
灰峰
え、刀剣男士なの?トリップ方法試しただけなのに種族まで変わったの?すげーな俺?
灰峰
灰峰
(何処から突っ込んでいいのやら。てか、審神者じゃないんかーい)
くろのすけ
くろのすけ
それで、僕から貴方に頼みがあります
灰峰
灰峰
お、おー……
くろのすけ
くろのすけ
政府側から許可も頂いていますので、取り敢えず着いてきてもらえますか?
灰峰
灰峰
(此処で説明してくれないんかーい)
くろのすけに言われ、仕方なくベッドからおりる。立って分かったが、何時もと視線の高さが違い、背はそれなりにあるらしい。
「その前にこれが貴方の刀です」とくろのすけがソファーに置かれている刀の方へと向かう。
刀の鞘は白色で、グレーや水色のラメに近い装飾が星のように散らばっていた。
灰峰
灰峰
へぇー。かっこいいじゃん。抜いてもいい?
くろのすけ
くろのすけ
どうぞ
この状況で興奮したり、騒ぐことも無く、むしろ堪能している自分を流石だなぁと思いながら、鞘から刀を抜いた。
刃は光が反射するほど綺麗に手入れされており、長さ的に打刀だと推測する。
刀を単純に抜くまでは良かったが刀を戻す際に、不思議と、頭の中に刀の構え方や正しい抜刀の仕方、戻し方の映像が流れ、身体が自然とその通りに動いた。
灰峰
灰峰
(ふっしぎやなぁ。手に取るように刀の扱い方が分かる。すげーな二次元)
刀を鞘にしまった後、ふと部屋の壁に飾られてあった鏡に映る自分の姿が視界に入る。
多少立体感はあるが、二次元タッチとも言える身体の造りと、三次元とは比べ物にならない自分の容姿に内心「おぉ……!」と感心する。
灰峰
灰峰
(美形じゃん。さっすが二次元刀剣男士になっただけあるわ。一生このままで過ごしたいんだけど。しかもロン毛かぁ。嫌いじゃない。つか、服装が長義君みたいなのは気の所為?)
鏡に映る自分では無い自分に見惚れていると、くろのすけに「外に出ますので、はぐれないよう気を付けてくださいね」と言われる。一体何処に向かうのだろうか。