夕餉の時間になり、風呂上がりの長義君と一緒に大広間へと向かう。大広間には既に刀剣男士達が集まっており、賑わっていた。まるで宴会だ。
隣から声がし、横を向くと伽羅ちゃんこと大倶利伽羅が立っていた。
まさか、伽羅ちゃんから初対面で突っ込まれるとは……。悪くは無いが。
燭台切に手を引っ張られ、空いている座布団に座らされる。宴会みたいだなぁとは思っていたが、自分の歓迎会なのだと気付き、笑ってしまう。歓迎会なんてされたのは初めてだ。
皆で乾杯した後、会話をしながら楽しく食事をとり、俺は一振の刀を目で探した。
生で見ると本当にオーラがあり、流石天下五剣だと納得する。審神者が三日月爺さんにも俺や鶴さんにした言動や仕草をしていると思うと、豊前江の台詞を借りて“気安いぞ”から山姥切ズの“死が来たぞ”と“死をもってな”の台詞を言ってやりたい。
待ち構えているのは物理的“死”と言うより、社会的“死”かもしれないが。
長義君の視線の先には、次郎太刀と日本号、不動行光が居た。何となく予想はついていたが、不動行光に関しては極になっていないので酔っ払いのままだ。
気になる話ではあったが、敢えてスルーして日本酒を一口飲んだ。この身体が酒に強いかどうかは知らないが、強い方であってほしい。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。