ピンク色のハートの目と尻尾
鼻は無く、耳あたりまで裂けた三日月型の口
ギザギザの歯と背中の翼、黒い角が悪魔を連想させる
〝 なんか忘れられてるから自己紹介するけど…
あたしはラッブロ・ネラ。…この名前もあなたがつけたのよ?〟
『…え、何者??悪魔???』
〝 ある意味あなたのなかの悪魔かしら。守護霊の方が近そうだけど。
まぁ、分身って感じよ。
あなたが生まれた頃からずーっと一緒。でもあなたに呼ばれてる間の記憶しかないけど。〟
ぶ、分身ね…
なんか…これ、今家で私が見てる夢の中なのか…??
いや、多分そうだ…そうに違いない
じゃなきゃ見ず知らずの家族ができてて、こんな自分の分身を名乗る奴とお話なんて普通ありえない…
〝 でもおかしいわねえ…。さっきあたしの事呼ばなかったの?呼ばれたから出てこれたはずなんだけど…。
やっとあのクソパードレ、口紅で殺すのかと思っちゃったわ。〟
『よんでないんだけど…って、口紅?』
〝 本当に、あんた殴られすぎて記憶喪失にでもなった?大丈夫?〟
そう言うと、ネラは左手人差し指の第1関節を外す
は!?と思って見ていると、第2関節をくるくるとまわしはじめた
すると、外れた部分から黒色の口紅のようなものが出てくる
〝これよ、この口紅塗ったらどんな事にも、誰にでも、なんでも命令できるじゃない!
思い出さない??〟
『…思い出さないわぁ。へえ、そんな事できんの?』
〝だからさっさとこの口紅塗って、パードレ死んで♡って言えば?? 〟
いい案じゃん!!と言うと、でっしょ〜と体をくねくねさせる
早速唇に塗ってもらおうと思ったが、少し疑問がうまれた
『そんな最強の口紅、なんで前の私は使わなかった…??
それ、なんか代償あるっしょ。』
〝 代償って程じゃないわよ、言う内容によって口紅の毒性の強さが変わるだけ。〟
『おい!?1番大事なとこ言えよ!!!』
危うくあのクソ親父殺すために私も死ぬとこだった…!!
やっぱこいつ、分身じゃねえ!悪魔だ、悪魔!!
〝 毒って言っても、死ぬ事はないわよ?基本普通の口紅だし。
ただ、直接的生死に関わる言葉の時だけ度合いによって苦しむことになるの。〟
『苦しむ…??』
〝 例えば、パードレ死んで♡だとパードレが死ぬまで唇が焼けただれてるような痛みがくるだけよ?〟
『それ、だけじゃねえんだよ!!!』
けれど、ネラもどの言葉が毒性をもつかはよく分からないそう
どんな非人道的命令でも、生死に関わらなければ毒性も出なかったようだ
わかっているのは、毒の痛みでショック死することはあれど毒自体で死ぬ事はないそう
『…ん??? ネラさ、なんで生死に関わる言葉が毒性を持つこと知ってんの?
ネラも全部能力把握してないんでしょ?』
〝 なんでって殺した時にはじめて口紅が毒を持って、苦しんでたじゃない。〟
『私誰か殺してんの!?』
〝寝ぼけてんの?マードレ殺した時の話でしょ。 〟
……。
私…そんな十字架背負ってんの???
重くない??重すぎない…???
実の母親殺してますって結構な病み抱えてない???
私になる前の私、どんなだったんだよ…
〝あとね、多分だけどその坊やも…同じような力持ってるわよ。〟
『…え、ジョルノが?』
〝 あたしの事も見えるんじゃない?〟
『同じ能力もってないとネラは見えないの?』
〝 えぇ、普通の人には見えないわ。
でも才能がないとこの能力は使えないし…遅かれ早かれ坊やも使えるようになる運命なのよ。〟
そういえば、この能力に名前ってない感じ?そう聞くと、ネラはあると答えた
前の私が調べてきたものらしいけど
覚えてないので、私は教えて欲しいとネラにお願いする
〝スタンドっていうらしいわよ。吸血鬼や石仮面がどうのとかも言ってたわ。よくわかんないけど。 〟
『…へ????』
〝 あたしも知らないの!〟
『待って、スタンド…?? ネラ、スタンドなの!?』
スタンドってあの…ジョジョの???
ジョジョの奇妙な冒険に出てくるスタンド??
言われてみれば、特徴は当てはまってる…
…待って、もしかして…ジョルノのファミリーネームって…
『ネラ、私らのファミリーネームって知ってる…???』
〝 そんなことも忘れたの???ジョバァーナでしょ? あなた・ジョバァーナ。〟
『……まじか。』
本当脳みそが追いつかない
私の隣で可愛い寝顔で寝てるジョルノは、ジョルノ・ジョバァーナ…??
私は私で、スタンド使い…!?
…あ、いまみてる夢がジョジョの奇妙な冒険の夢ってことかしら??
考えることに疲れた私は、もうネラに寝ることを告げて布団にもぐった
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。