笑い合えるだけで幸せだった
それ以上を求めてしまった自分にバチが当たったんだろう…
1人じゃとても広い部屋
あの時は2人でちょうど良かった部屋が、今はとても広い部屋に変わったのは3ヶ月前
コルクボードに貼られた写真たちを眺めて、今は居ない恋人の存在を叩きつけられた
言いずらそうに、いつもうちの目を見て話す元恋人がその日は視線を逸らしながら話す
その様子を見て、心の中の自分はまだどこか期待していた
ただ、その期待は裏切られて
もっと言いずらそうに、顔だけじゃなく頭も下げて
頭のてっぺんしか見えなかったけど泣いてるんだろうな
だってうちも泣いちゃいそうだから
精一杯の強がり
うちじゃ叶えてあげられない現実
いつか来てしまうのが怖かった現実
淡い期待も粉々に砕け散った
笑い合えるだけで幸せだった
たしかにそう感じていたし、思っていた
それ以上を求めてしまった自分にバチが当たったんだろう…
捨てられなかったお揃いモノたち、躊躇いもなくゴミ箱に捨てた
最後はコルクボードと一緒に貼られた元恋人との写真たちを、ゴミ箱に捨てた
幸せだった思い出と一緒に___
あなたのことは何でも知ってると思ってた
不器用なことも 猫舌なことも 電話が苦手なことも
だけど私の知らないことが一つだけあったの
あなたが もう私のことを好きじゃないということ
いつからすれ違ってしまったのかな
どうして気付けなかったのかな
二人で過ごした たくさんの思い出
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!