第3話

世界にとって(1)
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2020/02/18 08:14
世界にとって私は、なんなのだろうか。
_____有馬芙美ありまふみは、ふと、そう考える事がしばしばあった。

例えば私が、珍しい動物であったり、有名人であったり、地球温暖化防止に努める森や林や木々だとする。
すると、世界からの私への見方は変わるのかもしれない。
1人の人間からしても、凄かったりだとか、偉かったりだとか、そう、思われるのだろうか。

、、それじゃあ、悪い生き物は?
指名手配されている有名な殺人犯は、世界にとって悪い物なのだろうけど、世界はきっと、その生き物の事を覚えているんだろう。
だって、印象に残る様なことをしたんだから。

それだったら、私は、きっと覚えられていない。
特に悪いことをした訳でもないし、いい事をした訳でもない。
成績も真ん中くらいで、私立でも国立でもなく、公立の学校に通っていて。
ピアノも中途半端に終わらせてしまったし、歌も下手だし、運動音痴。
誰かの役に立った覚えもない。
医者になることを目指しているけど、この成績では余り期待出来ない。
友達にも散々馬鹿にされた。
だからこんな私は、本当に生きててもなんの価値もない人間、の筈だった。

私の人生をぐるりと変えたのは、2つの出来事だった。
『antique』という不思議なお店に出会った事と、ある少女の自殺。

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