何だよ。
自分の机でぐったりと寝ている俺の肩は
誰ものかに揺らされている。
誰だよ。
ゆっくりと重たい瞼を開ける、…と。
優愛と一緒に文化祭回ってたんじゃなかったのか?
まさか…!?
心底、ホッとする。
みくが優愛に何かしないか、とか。
みくは何を考えてるんだ、とか。
色々考えてたから。
まぁ、優愛が無事ならそれでいい。
みくは、俺の幼馴染でもあり、
俺の元カノでもある。
みくは、いつでも俺の近くにいて、
いつの間にか、俺はみくのことを
恋愛対象として見てしまっていて。
中学の時、胃を決して告白したらOKもらえて。
あの時はかなり舞い上がった。
デートだってたくさんしたし、
写真だってたくさん撮った。
けど…
俺を好きだと言う女子たちに
イジメをしているみくを見て、
いてもたってもいられなくて、
俺は別れを告げた。
だから、嫌いになったわけじゃない。
ずっと、好きだったし。
俺なりに大事にしてた。
けど、もう…。
アイツを恋愛対象に見ることはない。
今は、優愛のことで頭いっぱいで
これが恋なんだと実感するんだ。
だから、
優愛だけは、傷つけたくない。
みくが何、考えてんのかわかんねーけど、
みくに、傷つけられる前に俺が…必ず。
助けて見せる。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!