なんであんたなんかが優くんと
仲睦ましげに話してるわけ!?
驚いた。
優くんと黒王子が従兄弟だったなんて…。
ぜんっぜん似てないし。
優くんは可愛い小動物系男子で、
黒王子はドS男子って感じで…
二人とも、顔も性格も正反対。
そんな二人が従兄弟!?
し、信じられない。
まだ現実を受け付けられない私は
キョロキョロと二人の顔を見ては
考え込むポーズを何度も繰り返した。
いきなり名前を呼ばれ、
ピンッ!と背筋を伸ばす。
久しぶりに会ったのと、
久しぶりの会話にあたふたしてしまう。
自然と握りしめた拳に変な汗が滲み出る。
何のご冗談を…!
と突っ込もうとしたのも束の間、
彼のいつになく真剣な表情と眼差しに
見つめられ何も答えられなくなってしまった。
こんな優くんの顔、
初めて見たかも…。
そう言って、
今度は黒王子へと視線をずらした。
賭け…って…。
今度は黒王子が私を見つめる。
黒王子の大きな綺麗な瞳に、
自分が映し出される。
今度はすっごく優しい温かい眼差しを
向けてきた黒王子に
頭に?が浮かぶ。
えー…彼らは何を言ってるんでしょうか。
というか、…
いつの間にか私たちの周りは
たくさんのギャラリーで溢れてるんですが!?
皆さん、ごめんなさい。
すみません。
こんなごく普通の私なんかが
王子様方とお話してしまって。
心の底で、ギャラリーたちに謝罪。
クスッと笑って黒王子を見る優くんを
ギロッと何とも言えない顔で睨み付ける黒王子。
それでも優くんは嫌な顔1つせず、
悠々としている。
"ねぇ、優愛ちゃん"
なんていきなり聞かれたら
"うん"としか言えないわけで。
というか、まず、
話についていけてないのですが…(泣)
呆然と二人の間に立ち尽くす私。
そんな私に歩み寄り、
耳元で黒王子が囁いた。
…あぁ。ー
もう私、どうすればいいの…!!?
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!