第35話

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205
2018/06/14 10:28
その後、


お母さんのお得意の恋愛トークが始まって


ようやくお母さんから解放された玲二くんは


きちんと礼儀正しく挨拶をして


帰る支度を始めた。
雅 玲二(みやび れいじ)
それじゃあ、お邪魔しました
お母さん
玲二くん、いつでも遊びにきてね
雅 玲二(みやび れいじ)
あ、はい。ありがとうございました
佳純(かすみ)
玲二くん、またね!
雅 玲二(みやび れいじ)
うん!ありがとね
お母さん
あ、優愛。
途中までお見送りしてあげなさい
雅 玲二(みやび れいじ)
え、いや、結構ですよ
小林優愛(こばやし ゆま)
…わかった。お見送りするね。
いこう、玲二くん
あたふたしている玲二くんの背中を押して、


二人同時に家を出た。
ーーーーーー
小林優愛(こばやし ゆま)
今日は、ごめんね。
うるさかったでしょ?
もう夜の8時を過ぎていて


周りはすっかり真っ暗になってしまっていて


住宅街の灯りがやけに綺麗にみえる。
雅 玲二(みやび れいじ)
いや、全然。
つーか、スゲー楽しそうな家族だな
小林優愛(こばやし ゆま)
そうかな
雅 玲二(みやび れいじ)
おう、いいじゃん。
あーいうの
そう言って


夜空に光る星を眺めている玲二くんは


今、ちゃんと私の隣にいるんだ。


今、しっかりと。


手を出せば、


すぐに届くくらい、近くにいるはずなのに、


二人の間にある大きな壁を壊せずにいるんだ。
雅 玲二(みやび れいじ)
この前は、悪かった、
何かむしゃくしゃしててお前に当たっちまった
思わぬ言葉に耳を疑った。


玲二くんが私に謝るなんて…。
雅 玲二(みやび れいじ)
優とのこと、応援してるから。
頑張れよ
…違うよ。


私の今、好きな人は、


優くんじゃない。
私の本当に好きな人は


今目の前にいるのに。


あなたなのに。





雅 玲二(みやび れいじ)
お前も一歩踏み出したんだ。
だから、俺も前向かなきゃな
小林優愛(こばやし ゆま)
…前向く?
雅 玲二(みやび れいじ)
…俺、
みくともう一度やり直そうと思う
小林優愛(こばやし ゆま)
えっ!?
咄嗟に大声をあげてしまった。

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