第3話

story
303
2018/05/28 07:40
雅 玲二(みやび れいじ)
お前、…誰だっけ?
小林優愛(こばやし ゆま)
小林、優愛、です。けど…
雅 玲二(みやび れいじ)
へぇー(棒) 
いやいや。

聞いときながら棒読みっておかしくないかい!?
雅 玲二(みやび れいじ)
お前みたいなクズ人間に
悪口言われるなんて…
落ちたもんやな
コイツ…ハッキリ言って、ムカつく!! 

その上から目線どうにかできないのかな。
小林優愛(こばやし ゆま)
あんたの方がよっぽどクズだと思うけど!?
雅 玲二(みやび れいじ)
…フッ
小林優愛(こばやし ゆま)
へっ?
今、コイツ笑った?

笑ったよね?

何なのコイツ。

頭イカれてる!?

悪口言われて笑うとかありえないんですけど。
怪訝に思い、黒王子の顔を覗き込むと

彼はニヤッと笑って見せた。


その不敵な笑みにゾクゾクッと鳥肌がたつ。
雅 玲二(みやび れいじ)
これから仲良くしようね?優愛?
な、何が。
何が"これから仲良くしようね"だっ!!

仲良くなんてできるか!

てか、こっちから願い下げだわ、そんなもん。
小林優愛(こばやし ゆま)
無理、バッカじゃないの?
雅 玲二(みやび れいじ)
はぁ?
何。お前俺と仲良くしたくないわけ?
何に驚いたのか、

目を大きく見開いてパチパチとしている。



その顔に、思わずドキッとする。

コイツ、顔だけはいいもんね、、。


スッと筋の通った鼻筋。

形の良い唇。

大きな瞳に長い睫毛。

無造作にセットされた綺麗な茶髪。

まさに女子の理想像そのもの。

おまけに運動神経抜群かつ頭脳明晰ときたら…


女子が放っておくわけもなく。

周りには女子が群がる。

女子だけじゃなく、

男子にも人気があって、

よく"玲二さん、玲二さん!"

とかって黒王子の後ろを金魚の糞みたく

ついていってる男子を見かける。
カッコイイのは認める。


けど、性格に難ありでしょ!?

あ、ちなみに皆さん。

彼は高校3年生であって、

一応私の先輩に当たります。

"一応"ね?(笑)
雅 玲二(みやび れいじ)
お前は俺のこと好きじゃないん?
小林優愛(こばやし ゆま)
はぁ!?
あんたねぇ、女子全員があんたのこと好きだと思ってたら大間違いだからね!?
早口で捲し立てると、

私をジーっと見つめる黒王子。
小林優愛(こばやし ゆま)
な、何よっ…
雅 玲二(みやび れいじ)
決めた。俺、お前を落とすから
…おとす??
何言ってるの…この人。

言ってる意味が理解できず、

しばらく考え込んでいると、


キャーッ!!という悲鳴のような女子たちの

甲高い声が聞こえてきたので

振り返ると、
春川 優(はるかわ ゆう)
面白いね。それ、本当に?
突然の登場にポカーンとあいた口が塞がらない。
うそ、うそ、うそ…ー!!!
小林優愛(こばやし ゆま)
ゆ、優くん…
口に出してしまってからハッ!

と手で口を塞ぐ。


でも、周りには聞こえてしまってるみたいで…。
私としたことが…、


なんという失態。
春川 優(はるかわ ゆう)
久しぶり!優愛ちゃん♪
ニコッと満面の笑みを私に向ける。



彼は、春川優くん。通称・白王子。

高校1年生で私の1個下の後輩くん。



彼は黒王子同様、女子にも男子にも人気。

だけど違うのは、

"誰にでも優しい"ってこと!

とにかく困っている人のことを

放ってはおけない性格で、

黒王子とはまさに正反対な

顔も良くて性格もいい。


スーパーイケメンくんなのだ!!
ーーーーーーー


ー小学生の頃。

お祭りに行ってる時、

お母さんたちとはぐれて迷子になっちゃって。


『大丈夫?』

『どうしたの?』

そんな私のことを

心配して声をかけてくれた。


『うん。迷子になっちゃった…』

『迷子?
なら、本部に連れていってあげるよ。
もしかしたらお母さんたちも探してるかもしれないよ?ねっ』

暗がりでよく分からなかったけど、

よく見たら、私より年下で

身長も低くて。

でも今まで見た男の子の中で

一番カッコよくて…。



私に優しい笑顔を向けてくれた彼に

その笑顔に、胸がドキドキして。

なんだか苦しくなって。


私は…好きになってしまった。


ーーーーーーーーーーーーーーー
あの頃は、


"好き"は"好き"でも

友達としての"好き"みたいなもんだと

思ってた…


けど、最近気づいたの。
これが、初恋なんだって。
今ならわかる。



これが、



恋。
あれから数年経った今でもまだ、



私の初恋は…
継続中。

プリ小説オーディオドラマ