なんだか侑くんのクラスに入ることでさえ気が重い
好きな人のクラスに入るなんて普通ちょっとはドキドキするんだから私は少しおかしい
ため息をつきながら教室を出て2組にクラスに向かう
『そうやんな〜!委員会だるいわ〜!』
『寝ないでちゃんと話聞くんやで、侑』
私が教室を出た時、タイミング悪く隣のドアから出てきた侑くん
鉢合わせ状態になる
『あなた、先ええで』
どんな反応をされるのかびくびくしていた私にかかる優しい声
恐る恐る侑くんの顔を見るとなんだか優しげで寂しそうで
『ごめん・・・なさい・・・』
久しぶりに聞いたその声と顔が妙に落ち着いて
なんかグッと来てしまって
目の奥が熱くなった
このままでは泣いちゃう
早足で侑くんの横を通って教室に入った
横を通りすがるとき湊くんの柔軟剤の匂いがした
妙に落ち着くあの匂い
懐かしい匂いだった
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。