それからあっという間に5時間目が終わって私たちは校舎に戻った
もう付き合っとるんやし手繋がせてやという侑くん
だから今手を繋いで教室まで帰っているんだけど
『え?!宮先輩って彼女いたの?!?!』
『え〜!ショック〜!』
普通のカップルでも学校で手を繋いだらだいぶ騒がれると思う
だから相手が侑くんなら当然騒がれるわけで
『侑とあなたって付き合ってたの?!?!』
もちろんクラスの話題の的となった
『そやでそやで〜』
みんなどっと聞いてきてちょっと反応に困っていると侑くんがやってきて後ろから私を抱きしめた
『今日から俺の彼女やから手出さんでや〜』
侑くんはそう言ってぽんぽんと頭を撫でる
「「「キャーーーーーーー!!!!!」」」
クラスだけじゃない、稲荷崎全体の話題だった
少なくとも1週間くらいは話題だった
私があまり関わらないように子と1対3とかで話していれば
『なに話しとん〜?』
後ろから抱きついてきて黒いオーラを出してくるし
「違うよ!!!侑くん!馴れ初めを話してただけで・・・」
「あっそうなん?」
私が男の子に話しかけられれば
『あなたは俺の女の子やで』
また後ろから抱きついてきて黒いオーラを出してくるし
「いや!プリント回収してただけだから!!!」
「あっそうなん?」
とにかく侑くんは暇さえあれば私の近くにいた
そのうち私は『宮侑に溺愛される彼女』
侑くんは『かっこいいけど彼女しか見ないバレー馬鹿』
という肩書きをみんなからもらった
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。