しばらくすると侑くんがプリクラを眺めながら
『これ撮ってみたいんやけど』
「えっ?」
プリクラをゆび指しながら私にそう言った
『俺、撮ったことないんよね、プリクラ』
「えぇ?!?!」
あの宮侑がプリクラを撮ったことがない?!
あの宮侑が?!?!?!
「冗談だよね?」
「いや、本当やで」
『俺、彼女とか出来たことないねん』
えへへと頭を掻きながらそう言う侑くん
嘘やろ・・・
これは完璧な嘘や
私はダマサレテイル!!!!!
「嘘つけ?!?!」
「いや、ほんとやで?!信じてや」
「いや、絶対嘘」
「俺そんな遊び人に見えるんか?!」
『バレーの邪魔やねん、今までの告白全部断っとる』
えぇ・・・
この歳になって?!?!?!
男に興味のない私でもお付き合いくらいあるよ?!?!?!
まだ誰かを好きになったことはないけど
『引いたか・・・?』
「全然引かない・・・!!!」
むしろかなり好印象
こんなのみんなに言いふらしたら侑くんの株は馬鹿上がりだろう
バレーの邪魔だからいたことない
『いたことない』って言葉に嬉しくなった
同時に『邪魔だから』って言葉に心は沈んだ
侑くんと付き合える可能性はないんかな
私はただの友達か
少し期待していた私は馬鹿みたい
恋愛対象圏外か
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。