目の前にいる彼女はうどんをスルスルっとすすっている
『おいしい〜!!!』
「美味しいね!ね!角名!」
「うん、おいしい」
にこにこしながら幸せそうに食べている
(食べる時は表情筋ゆるゆるだな)
その笑顔が可愛い
なんて絶対に言わない
俺だけの秘密
俺が今好きだよなんて言ったら
きっと君は困るでしょ
そして同じ答えが帰ってくるわけがない
最近の君に落ち着きがないのも
二組を通りがかるといつも教室を見ていることも
誰かを探しているような目も
全部全部
俺の知らなかった顔
それがよりによって侑だなんて
勝ち目がない
侑にぽろっと江原の話をしてしまったこと
時間を戻せるなら戻して言わなかったことにしていたいくらい
それくらい
後悔している
でも君が
侑と一緒にいる時は笑顔で
楽しそうで
何より幸せそうで
だから幸せになってほしいと思ってしまうことも悔しい
『角名?どうしたの?』
「あ・・・いや、なんでもない」
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。