宮くんに話そうやと言われて裏庭のベンチに座った
ここはあんまり人が来ない穴場
だから周りには宮くん目当てのあんまり女の子がいなくて騒がれない
『すごい江原さんと話したくてすぐご飯食べたわ!』
宮くんは罪な男だった
イケメンでなおかつこんなセリフをスラッと言ってしまう
(宮くんと話す人全員落ちてそう)
「あ、ありがとうね・・・!」
「江原さんは?」
「わ、私も話したかった・・・よ?」
私がそう答えると宮くんは綺麗な笑顔で笑った
「あ、今日めちゃくちゃキツいメニューなんやったわ・・・」
突然すぐそこにある部室棟を眺めながら宮くんはげんなりした
「バレー部って凄い強豪だよね?」
「それなりに強いで!」
「いつも全国行くバレー部見て凄いなぁ思ってるよ」
私はそういえばバレー部めちゃくちゃ強いなって思って宮くんにそう言った
「俺、こう見えて強豪のレギュラーなんやで?」
宮くんがふふんと自分を指さしてドヤ顔した
「レギュラーとか凄いね!!!ポジションは?」
「セッター言うところや、チームで1人しか試合出れないんやで?凄いやろ」
「す・・・すごい!!!」
「しかもユースやで?」
宮くんこんなにカッコよくてバレーも上手いなんて!!!!!
しかも双子
宮侑、スペック盛りすぎ問題。
『じゃあ今度試合見てみたいな!』
宮くんのプレーしてる所見てみたい
私、稲荷崎行っとるのに1度もバレー部の応援行ったことないんだよね・・・
(本人は行ったことがないと言っていますが一年生の頃にめいと一緒に応援に行っています。おバカ。)
『━━━━━━━━江原さんが来てくれたら頑張れるなぁ・・・』
宮くんがぼそっと何か呟いたけど聞こえない
「宮くん今なんて言ったの?聞こえなかった!」
「いや・・・なんでもないで!」
「そ、それより!その宮くんってやめてや、治も宮くんや」
「じゃあなんて呼べばいい?」
『侑って呼んでや』
「じゃあ・・・侑くん!」
「くん付け慣れんわ、じゃあ俺はあなたって呼ぶな?」
「うん!」
『よろしく侑くん』
『よろしくあなた』
「昨日も挨拶したな」
「ふふ、そうやね」
改めての挨拶がなんだか面白くて
顔を見合わせてお互い笑ってしまった
『あ、あなたよかったらLINE教えてや』
「え・・・!」
「嫌やった?」
正直侑くんがLINE交換してくれると思わなくてびっくりした
「ううん・・・!嬉しい!でもいいん?」
『だってあなたともっと仲良くなりたいもん』
『侑ってモテるのに女の子とLINEせんよね』
『あいつ女あんまり興味ないからな』
『じゃあ女の子のLINE持ったらきっと侑に春が来たってことやね!!!!!』
さっきめいと治が言ってたことを思い出す
侑くんに好かれるとかどんな奇跡が起きてもあるわけないと思うんだけど
今だけちょっとだけ夢見てもいいかな
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!