第5話

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2021/01/14 10:39



それに、なんだかんだ私も楽しかった。


薫くんと駄菓子屋さんに行ったり、川岸で遊んだり、あと公園でぼうっとしてみたり、そんな普通の遊びばかりだったけど楽しかった。


けど、薫くんがどうして私と遊びたがるのか、わからなかった。


だって、薫くんには友達がちゃんといたからだ。


私は知っている。


薫くんの家に、友達が遊びに来ることを。


隣に住んでいるから、窓を開けていると何気なく聞こえてくるのだ。


薫の友だち
薫の友だち
なぁ、薫ー、サッカーやろうぜ
薫
ごめん。お母さん帰ってくるまで、待ってないといけないんだよ
薫の友だち
薫の友だち
そっか。じゃあまたな
薫
うん。ばいばい



そのあと、しばらくして薫くんは私の家に来る。



薫
あなたおねえちゃん、遊ぼう
あなた

え、さっき友達来てたよね? お母さん帰ってくるまで、待たないといけないんじゃないの?

薫
いいの。あれは言い訳だから






           ーーなぜ?


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