第9話

258
2021/01/16 12:27



遊ぶ時間が取れないかわりに、私は部活が終わってから薫くんの家に行った。


薫くんは私が会いに行くと、喜んでくれた。


薫
あなたおねえちゃんっ、来てくれたんだ
あなた

うん

あなた

今日遊びに来てくれたんだってね。ありがとう

あなた

でも、今日も部活が終わるの遅かったんだ

あなた

ごめんね

薫
いいんだよ。ほら上がって
あなた

うん





週に数回、私は薫くんに勉強を教えた。


本当は塾に行ったりしたいようだったけど、お母さんたちの都合上それは叶わないらしい。



だから、せめて私ができることはしてあげようと思った。


そして、今日も私は薫くんに会いにいくために、部活から帰ってご飯を済ませると家を出た。




    |
    |
    :
    :







         中学三年の春だった。

プリ小説オーディオドラマ