第107話

ひ ゃ く ろ く ☺︎
2,818
2022/01/23 15:47



あなた「…ん、、」


何時やろ。


ご飯も食べず、お風呂にも入らないまま、

わたしたちは、


ベッドの上で寝てしまっていた。





1時、

すごい寝ちゃった、




お風呂、入ろかな。




ベッドから降り、

わたしはお風呂場に向かった。



シャワーを浴びて、

髪を乾かして、

歯を磨いて。





ベッドに戻ったけど

なんか、目、覚めちゃった。


なんとなく、ベランダに出て、

わたしはぼーっと空を眺めた。






曇ってる。


星も、月も、何も見えない。


あなた「どんなときも空を見上げて星をさがそう…」


なんで歌ってるんや、


はぁ、なんか、疲れた…




「あなた…?」




え?

たく…?



拓哉「あなた、おるん?」


戻ろう、

そう思ったけど、

なぜか身体は動かない。







あなた「なにしてるん、こんな時間に、」
拓哉「そっちやって、」
あなた「…寝れなくて、」
拓哉「そっか、」




交わした約束も あの夜の別れも

全てを抱きしめて 進もう…






なんて、

できるわけない。




拓哉「好きやんな、」
あなた「え?」
拓哉「星をさがそう」
あなた「あぁ、…うん、好き」


なんで、

こんな普通に話せてるんやろ、



まあ、

長い沈黙は多いけど。







拓哉「…風雅、来てるん」
あなた「…うん、」
拓哉「そか、」
あなた「うん、」
拓哉「…ごめんな、今日、」
あなた「ううん。…こっちこそ、ごめん。」
拓哉「…最近、どう?」
あなた「…どうもこうもないよ、」
拓哉「学校、行ってないんやろ」


知ってるんや、


まあ、そうやんな。



親同士繋がってたらそうなるよね、






あなた「たくのせいじゃないから」
拓哉「俺のせいやろ、」
あなた「たくは、…なんでわたしのこと好きになってくれたん?」


拓哉「…あなたの、やるって決めたことに対してめちゃくちゃ努力するとことか、人の気持ちに、寄り添えるとことか、好きなことに夢中になれるとことか、…あと、真っ直ぐで、きらきらした笑顔も、いろんなことで泣けるとこも。とにかく全部が好き。」



わたし、

そんなだったかな、




今はもう、

ぜんぜん違う。






あなた「わたしもう、違うから、あのころとは。たくが好きになってくれたわたしは、もういないよ。」
拓哉「あなたはあなたやで。ずっと変わらん。」
あなた「わたし、何も頑張ってない。学校やって、頑張れなかった。好きなことに夢中になれなくなった。人の気持ちなんか考えれないし、自分が、傷つかないようにって、そんなことしか考えられない。自分のことでしか泣けない。風雅がいないと、笑顔になれない…」



変わらないことなんか、

ないねんで。たく。




拓哉「俺は、それでもあなたが好きや。」




今のわたしのこと知らないのに、

軽々しくそんなこと言わないでよ。  




避けてるのは自分やのに、

そんなことを思ってしまった。




あなた「わたしはもう、好きじゃない」



どうせ、

わたしのことなんかすぐ忘れる。


わたしなんかとは、

比べ物にならないくらいかわいい彼女、



すぐできるやろ、







わたしは、部屋の中に戻った。


あなた「っ、風雅…」


ソファーには、

風雅が座ってた。



お風呂上がりやし、

いつの間に起きとったん?






風雅「めっちゃ寝てたわ」
あなた「ほんまにね、笑」
風雅「おいで」


風雅はそう言って、

両腕を広げた。



わたしは頼るように、

ぎゅっと抱きついた。




あなた「あったかい、」
風雅「お風呂上がりたてやもん」


風雅は、

わたしをぎゅっとしたまま立ち上がった。





あなた「え、なに」


風雅「抱っこ。」


あなた「いやわかるけど、力あるな、ほんま。」


風雅「軽いもん。もうちょい太ったほうがいいで」
あなた「ずっと食べれんかってんもん、」
風雅「そうなんや、辛かったな。」
あなた「風雅といると、普通に食べれる」
風雅「そうなん?1人のとき食べてないん?」
あなた「1人やと、食べよって思えない」
風雅「俺おらんとあかんやん」
あなた「そやね、そばおってくれる?」


風雅「うん。死なれたら困るし。」


あなた「そっか、」



風雅は、

わたしをベッドに下ろし、そっと頭を撫でた。




あなた「横きてよ、」
風雅「はいはい」
あなた「眠なってきた…」
風雅「もう2時やしな」
あなた「うん、」
風雅「おやすみ。」
あなた「おやすみ。」





ほんまに、

何でたくと普通に話せたんかな。




顔見んかったら話せるんかな、

でも、舞台中は声聞くんも辛かったのに。



なんでやろ、



なんて思いながら、

わたしは深い眠りに落ちていった。














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