第5話

story five
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2018/08/02 14:03
俺は屋上へと繋がる階段を駆け上がって行く。
そら
『あと…じ悪い…か…やめ…よね?…』
かすれかすれにそらの声がする。
くう
よく聞こえないなぁ
俺は屋上のドアに近づき、耳を済まそうとしたその瞬間……
ドンッ!
ドアが勢いよく開いて、そのドアが自分に思いっきりぶつかって俺は突き飛ばされた。
くう
いってー……
階段の方を見てみると、泣きながら勢いよく階段をかけ下がる男がいた。
くう
あー、フラれたんだ
俺は心の中で男を励ましてやった。
そら
『…か手の…にがみ…よね?…』
またそらの声が聞こえた。
まだ誰かいるのか?
まさか!2人に告白されて1人はオッケーしたとか!?
そんなモテてたのか!?
俺は慌ててドアに聞き耳を立てた。
そら
『わ…しはし…がみがだ…っきら…な……よ。…』
くう
ん?なんだ?
死神
『は?』
そら
『さっき、私のこと「殺す」って言ったよね?』
そら
『殺せるものなら殺してみな?
命の保証はないけどね』
死神
『は?』
死神
『子供が好き勝手言ってんじゃねーよ!』
これ……やばくないか?
なんか争い始まっちゃったし!
止めに入るか?
でも、そらはそんな危ないことする子じゃない。
それを俺が1番知っているはずだ。
よし、今は様子を見ていよう。
そら
『どうしたの?もうおしまい?』
相手が弱っている……
まさか、あそこまでするとは……
でも、まだ待とう!俺の妹なんだ!信じよう!
そら
『あ、そっかー、死神の世界に戻ったとしても消されちゃうのかー』
なんでそんなこと言ってんだよ…
そんな言い方でそんなこと言ったらまるで……
そら
『どっちも死んじゃうなんて不幸だねー』
やめろ……
やめてくれ……
そら
『ならさ、私が消してあげるよ』
もう……だめだ……
俺は屋上の扉を開けた。
くう
やめろ

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