俺は屋上へと繋がる階段を駆け上がって行く。
かすれかすれにそらの声がする。
俺は屋上のドアに近づき、耳を済まそうとしたその瞬間……
ドンッ!
ドアが勢いよく開いて、そのドアが自分に思いっきりぶつかって俺は突き飛ばされた。
階段の方を見てみると、泣きながら勢いよく階段をかけ下がる男がいた。
俺は心の中で男を励ましてやった。
またそらの声が聞こえた。
まだ誰かいるのか?
まさか!2人に告白されて1人はオッケーしたとか!?
そんなモテてたのか!?
俺は慌ててドアに聞き耳を立てた。
これ……やばくないか?
なんか争い始まっちゃったし!
止めに入るか?
でも、そらはそんな危ないことする子じゃない。
それを俺が1番知っているはずだ。
よし、今は様子を見ていよう。
相手が弱っている……
まさか、あそこまでするとは……
でも、まだ待とう!俺の妹なんだ!信じよう!
なんでそんなこと言ってんだよ…
そんな言い方でそんなこと言ったらまるで……
やめろ……
やめてくれ……
もう……だめだ……
俺は屋上の扉を開けた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。