第6話

story six
372
2018/08/04 06:46
くう
やめろ
俺の声を聞いて、2人が驚いた顔でこちらを見た。
そら
くうにいちゃん……
そらが俺の名前を言った。
その声はどこか悲しそうに聞こえた。
くう
そんなことしたいって本当に思ってんのか?
したくないよな?


したくないって言ってくれ!
そら
そ、それは……
くう
そらは、そんな子じゃなかっただろ?
とても優しくていい子だった。
今もそうだろ?
そら
うるさい……
くう
なんでそんなことするようになっちゃったの?
いつからだ?
俺の知ってるそらはどこなんだ?
そら
違う……
こんなのそらじゃない。
俺の妹のそらは……
くう
そらは、
そら
うるさいうるさいうるさい!!!
そらが俺の言葉を遮った。
そらが死神の方を向いた。
まさか!?
くう
そら!!
そら
殺してやる!!こいつを!!こいつを!!
死神
!?
もうだめだ……
俺は、死神に手を振りおろそうとしているそらに向かって手をかざした。
そして……
そら
!?
バタンッ
俺の魔法でそらを気絶させた。
こうするしかなかったんだ。
そらはおかしくなっている。
いつからだ?なにがあったんだ?
俺にはわからない。
きっと俺の知らないところで何かがあったんだろう。
死神
……
くう
死神さん
死神
は、はい……
くう
妹が大変ご迷惑をおかけしました。すみません。
死神
こちらこそ、ついカッとなってしまって……
悪い死神ではなさそうだなぁ。
きっと、この死神も生きるのに精一杯なのだろう。
死神
あなたも、死神と人間のハーフなのですか?
くう
はい、そうです。
死神
そうでしたか……
死神は悲しそうな顔をした。
死神
妹さんが言ったとうり、俺はもう生きることはできないんですよね……
死神が笑顔で言った。
辛いはずなのに……
死神
死神に生まれてきたのだから仕方ないことなのです。
くう
そ、そんな……
死神
もし、生まれ変わるのなら人間に生まれ変わりたいな
死神
人間を見ていると、幸せそうな人がたくさんいるんですよ。
くう
そうですね
死神
それじゃあ、俺はこれで
くう
……はい
死神は、黒い闇に消えていった。
死神の世界は残酷だ。
使えない奴は消される。
罪もないのに……
優しさなんて少しもないんだ。
そんな世界……





消したい。
俺は気絶しているそらを持ち上げた。
そして、屋上を後にした。

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