中学2年生。
私は、好きな人ができた。
名前は 金木 多羅斗(かなき てらと)。
幼馴染の男子だ。
てらとはいつも優しくて、私の事を気遣ってくれるし、昔からの長い付き合いだ。
ツンデレで正直じゃないところもあるけど、すごく大好きだ。
そんなある日……
てらとの背後には死神が取り付いていた。
ど、どうしよう……死神がとりついてるということは……
てらとが私の頭をぽんぽんとした。
きゅん!
てらと は照れ臭そうに顔を真っ赤にしていった。
そう言って てらと が離れていった。
流石に言えないよ……
そのかわり助けるから!
でもどうしようか。
お兄ちゃんに相談する?
いやいや!好きってことバレたら嫌だし……
うーん……
1人でなんとかするしかないか。
ー放課後ー
この調子で一緒にいて、なんかのタイミングで死神と話す!!
そして死神にターゲットを変えてもらえるように頼む!!!!
てらとがうつむき気味で言った。
屋上に用事?
それってなんの用事?
屋上で用事っていうほどする事ある?
一瞬自殺でもするんじゃないかとか思ったけど、明るい感じだしそれはないっぽい。
それに、私も行くならそんな事あり得ないでしょ。
私はてらとについて行き、屋上までやってきた。
暗くて低い声が聞こえた。
後ろにいた死神がこっちを向いてにやけている。
死神と話してるなんて言えない……
な、なんで……
てらとの顔が一瞬で真顔になった。
そして、しゃがみこんだ。
何が起きているのか、頭が追いつかない。
すると、てらとが急に立ち上がった。
そしてそのまま屋上の柵の方へ歩き出した。
私は勢いよくてらとに抱きついた。
私は涙が溢れてきた。
柵がもう目の前まで来ていて、今にも落ちそうだ。
もうこの際なら一緒でも構わない!!
ドンッ
私は、屋上に向かって思いっきり押された。
そこには、屋上から落ちながら、誰かを押した後のように手を伸ばして、ニコッと笑っているてらとがいた。
私は思いっきり叫んだ。
バタッ
下の方で聞いたことのないような残酷な音が聞こえてきた。
私は思いっきり泣いた。
そう言って死神は消えてった。
私はポツンと屋上で泣き続けた。
そして、泣き止んだころにはもう、私は私で無くなっていた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。