第14話

アイドルのパーティーは少し刺激的
2,720
2019/10/21 11:59
後ろから、誰かに抱きしめられている。部屋も暗くて、何も分からない。
夢叶
夢叶
誰ですか!?放して下さい!
ひどーい。夢叶っち
夢叶
夢叶
真広くん!?
朔也
朔也
おい、おまえ何やってんだよ!
電気がついた。
真広
真広
何って、サプライズだけど。ね?
真広くんは悪戯っぽく笑って私の顔を覗き込んでくる。つま先から頭まで、一気に血が上がってきた。
朔也
朔也
とにかく、離れろ!
朔也くんが、真広くんを引き離してくれた。
夢叶
夢叶
あ、あの……大切なお話と聞いて来たんですが……
真広
真広
そうそう。じゃーんこれを見て
真広くんは何事もなかったかのように、壁を指差した。「満点祝賀会!」と壁に紙が貼られている。
夢叶
夢叶
満点……100点とれたんですか!?
朔也
朔也
そういうこと
夢叶
夢叶
やったー!すごいです!
私は、隣にいた朔也くんの手を取る。
夢叶
夢叶
どうしよう!私、今すごく嬉しいです!
朔也
朔也
え、あ、そうか。おまえが喜んでくたなら
朔也くんの頬が少し赤くなる。
真広
真広
あー僕には?
夢叶
夢叶
本当におめでとうございます!こんなに、嬉しいこと初めてかもしれないです!やっぱり、お二人はすごいです!
嬉しい。自分のことじゃないのに、こんなに嬉しい。どんな言葉でも言い表せない程、嬉しい!
朔也
朔也
おまえのおかげだ。おまえが居なかったら、満点も取れなかったし勉強も嫌いだった
夢叶
夢叶
真広
真広
夢叶っちが先生じゃなかったら、こんなにやらなかった
頬が濡れるのが分かった。両目から、とめどなく涙が流れてくる。
朔也
朔也
なんで、泣くんだよ
夢叶
夢叶
そんなこと言われたのは、初めてで
 涙が止まらない。止め方が分からない。
真広
真広
何度でも言ってあげる。夢叶っちは、最高の僕達の先生だよ
涙で前が見えない。
夢叶
夢叶
私、勉強が取り柄で、良かったです!
朔也
朔也
馬鹿だな。俺達は、勉強が出来るからおまえが良いって言っている訳じゃない
真広
真広
そうそう。たとえば、こういう素直で可愛いところ
真広くんがティッシュで私の涙を拭いてくれる。
朔也
朔也
本当の俺達を受け入れてくれるところ
朔也くんも指で私の頬の涙を拭ってくれる。
朔也
朔也
もっと言おうか?
優しく少し掠れた声で耳に囁かれる。
真広
真広
他は……
真広くんもかがんで私の耳に口を近づける。
夢叶
夢叶
も、もう大丈夫です!あ、ありがとうございます!
それは恥ずかしすぎて耐えられない!
真広
真広
とにかく、今日は夢叶っちをたくさん甘やかしてあげる
夢叶
夢叶
え、
朔也
朔也
ま、これからもっと言っていくつもりだから、今日はこれで勘弁してやる
朔也くんが私の手を優しく握る。
朔也
朔也
ほら、こっちに来い
促されて椅子に座る。机の上には、ケーキや焼き菓子がたくさん並べられていた。
真広
真広
夢叶っちのために用意したんだよ
朔也くんと真広くんが私を挟むように両隣に座る。
朔也
朔也
ほら、お姫様
朔也くんは私の前にイチゴのショートケーキを置く。フォークで一口大に切ると私の口に持ってくる。
夢叶
夢叶
お姫様!?
真広
真広
そう。僕達のお姫様
朔也
朔也
ほら、口を開けろ。食べさせてやるよ
あーんってやつだよね!?アイドルにあーんなんて……!
夢叶
夢叶
そ、それじゃあ
口を開けると優しい甘さが口に広がる。
朔也
朔也
うまいか?
夢叶
夢叶
はい……
甘いけど、味がはっきりと分からない!
真広
真広
じゃあ、僕も
真広くんは私の手を取ると、手のひらを適度な強さで揉んでくれる。
真広
真広
ここを押すと、目の疲れに効くんだって
気持ちいい。真広くんの手の温かさも相まって、癒される。
真広
真広
どう?
夢叶
夢叶
とても、気持ちが良いです……
なんだか、とても眠くなってきた。テンション上がって、泣いて、甘いもの食べて、マッサージされて……。
朔也
朔也
って、おい!
瞼が重くて閉じていく。朔也くんと真広くんが何か言っているけど、分からない。



朔也
朔也
夢叶……好きだ……
なんて、言っているの?朔也くん。
朔也
朔也
好きだ。夢叶

朔也くんがわたしのことを好きなんてありえないよ、そんなこと……
****
あれ、私何してたんだっけ?確か、朔也くんと真広くんとケーキ食べてたはず。
夢叶
夢叶
はっ!私ったら!
私、寝てしまっていたんだ。隣で、真広くんが腕を組んで寝ている。でも、朔也くんはいない。
朔也
朔也
起きたか?
朔也くんが湯気の立つマグカップを私の前に置く。
好きだ……夢叶
あれは、やっぱり夢だよね。私、変な夢見ちゃった。でも、何だろう。ドキドキするし、朔也くんの顔をまともに見られない。
夢叶
夢叶
朔也くん、ごめんなさい。私、寝てしまったようで
朔也
朔也
別に気にするな
真広
真広
うーん?夢叶っち起きたの?
真広くんも眠そうに目を擦りながら起きる。
夢叶
夢叶
すみません。うるさかったですよね
真広
真広
別に平気だよ。さっきまでは静かだったから。どっかの誰かさんがアホなことをしなければね?
一瞬、朔也くんが真広くんを睨みつけた。
真広
真広
まあいいや。それより、ねえ?夢叶っち、頑張った僕にご褒美ちょうだいよ
忘れてた。頑張ったら、何かするっていう約束だった。
夢叶
夢叶
私にできることであれば……
真広くんが満面の笑みを浮かべる。
真広
真広
難しいことじゃないよ。僕と二人でデートに行こう
夢叶
夢叶
デートですか?
朔也
朔也
それは、いいな。勿論、俺とも行くよな?
夢叶
夢叶
私、デートとかしたことないのですが……
真広
真広
大丈夫。僕に任せてくれれば楽しいから
朔也
朔也
おまえは何も心配することはないから。気軽な気持ちで来ればいい
私といて楽しいデートになるかは不安だけど、約束だったし。
夢叶
夢叶
分かりました、よろしく、お願いします
真広
真広
やった!じゃあ、朔也順番を決めよ!
朔也
朔也
勝った方が次の休みに行く。負けたら、その次な
真広
真広
良いよ。最初はグー
朔也
朔也
じゃんけん——

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