第13話

アイドルのテスト勉強は一味ちがう
2,550
2019/10/14 05:27
夢叶
夢叶
いいですか?今からは、二人とも別々の授業を受けて頂きます
秘密の部屋で、私は二人とテスト対策をしていた。
真広
真広
なにー?夢叶っちの特別授業?楽しみー
朔也
朔也
どんな授業でも、満点を取れればいい
夢叶
夢叶
では、まずは朔也くんから



私は、朔也くんと向き合って座る。
夢叶
夢叶
朔也くんは、基礎は大体できています。ですが、応用がまだまだ不安な所がありますね
朔也
朔也
まあ……そうだな
夢叶
夢叶
基礎を応用できるように、朔也くんにはもっと基礎の理解を深めてもらうべく今から私に授業をしていただきます
朔也
朔也
授業?
夢叶
夢叶
はい。早速、数学からやりましょう
朔也
朔也
まず、二次関数で覚えておくのはy=ax²を覚えておけば半分は分かったもんだ
夢叶
夢叶
はい
朔也
朔也
それで、ポイントは二次関数のグラフは放物線を描いて、原点を通る
夢叶
夢叶
質問です、朔也くん
朔也くんが目を細めて不機嫌な表情をする。
朔也
朔也
おい、俺は先生なんだろ?
夢叶
夢叶
ええ。そうですが
鼻先がくっつきそうなほど、顔を近づけてくる。
朔也
朔也
なら、俺のこと先生って呼べよ。朔也先生って
朔也くんの瞳の中に、自分が見える。
朔也
朔也
生徒のやる気を出すのも仕事だろ?
夢叶
夢叶
さ、朔也先生
耳と目が熱い。一言、言うだけなのに何でもないことなのに。
朔也
朔也
良く、出来ました
朔也くんは満足そうに笑うと、私の頭をポンポンと撫でる。
心臓の音がうるさい。



真広
真広
それで、どうして僕はダンススタジオなの?
夢叶
夢叶
真広くんは、集中力は人一倍あります。でも、長時間は続かないですよね
真広
真広
だって、疲れちゃうんだもん
夢叶
夢叶
なので、30問解いたら10分間走ってリセットします。これを繰り返しましょう
真広
真広
やってもいいけど、まさか僕一人ではやらないよね?
夢叶
夢叶
へ?



真広くんの体力は無尽蔵なの?
真広
真広
はい、30問。走ろう!
夢叶
夢叶
はい……
これで、計40分走ることになる。真広くんは、元気だけど私はもう……。
真広
真広
もう、へばってんの?
夢叶
夢叶
頑張ります……
足が重い。真広くんの後を必死で着いて行く。けど、もう2週は離されている。
真広
真広
夢叶っち、どうしてそんなに頑張るの?もう無理なら、休めばいいのに
余裕の真広くんが私の隣を走る。
夢叶
夢叶
だ、だって、真広くんと……一緒に、頑張りたいですから
真広
真広
……ふーん
なんだろ、少しフラフラする。この頃、あまり眠れていなかったからかな……。
夢叶
夢叶
きゃあっ!
足がもつれて床に倒れそうになる。
真広
真広
大丈夫!?夢叶っち?
夢叶
夢叶
すみません……
真広くんの腕が倒れそうな私の身体を支えてくれていた。
真広
真広
夢叶っちは、休憩ね。そこで見てて
腕を引かれて床に座る。
夢叶
夢叶
でも……
真広
真広
動いたら、お仕置きするからね!
有無も言わさない雰囲気に、私は頷くしかなかった。

運命のテストまであと1日。
夢叶
夢叶
こんなにやれば大丈夫です!絶対に、満点取れますよ!
朔也
朔也
まあ、後はサラっと復習しておくか
夢叶
夢叶
いえ!テスト前日は、しっかり休んで下さい。十分な、睡眠をとることもテスト対策の一環です
真広
真広
僕的には、やらなくて済むならやらないけど
これで、私も一安心。
真広
真広
それで、夢叶っちのその目の下のクマは何?
夢叶
夢叶
へ?
朔也
朔也
それ、俺も気になった
夢叶
夢叶
これは……何でもないですよ!
疑いの眼差しを向けられているのが分かる。
夢叶
夢叶
あ、ごめんなさい!私、時間なので帰りますね!明日は頑張って下さいね!
二人が不満そうに何か言っているのを聞かなかったことにして部屋から出る。
早く、帰って私も勉強しないと……明日の期末試験で赤点取ってしまうかも。



テストでこんなに焦ったのは初めて。
先生
はい、終了!ペンを置け
夢叶
夢叶
どうしよう!問3間違えたかも……
先生
試験が終わったからってハメを外すなよー
朔也くん達の勉強を見ながら、深夜に自分の試験勉強。正直、少しキツかった。
夢叶
夢叶
二人とも……大丈夫かな?
でも、流石に少し疲れたし今日は家で休もうかな。
プルルルル、プルルルル
朔也くんからだ!もしかして、もう結果が出たのかな?
夢叶
夢叶
もしもし
朔也
朔也
結果が出た
夢叶
夢叶
どうでした?
朔也
朔也
……いつもの部屋に来れるか?話がある
少し、沈んだ声。何かあったの?
夢叶
夢叶
あ、あの!
朔也
朔也
とにかく来てくれ
いきなり切られてしまう。本当に何かあったんだ!もしかして、だめだった……?
早く行かないと!
川西
川西
久野さん、ちょっといい?
夢叶
夢叶
川西くん?何ですか?
川西
川西
あのさ、この間の電話のこと
電話……?あ、確か朔也くんが彼氏のフリして……。怒ってる?
川西
川西
ごめんね。ひどいこと言って
夢叶
夢叶
あ、いえ。大丈夫です。私の方こそごめんなさい。それより、これから私……
川西
川西
俺、やっぱり久野さんと仲良くしたくて
早く行かないと。
川西
川西
このあと、時間があったら一緒に……
夢叶
夢叶
ごめんなさい!私、行かないといけないところがあるので!また!
ごめんなさい、川西くん。でも、大事な用があるので。
私は、教室を飛び出す。目的地は、いつもの秘密の部屋。



夢叶
夢叶
はぁ、はぁ、やっと着いた……
扉を開く。
夢叶
夢叶
朔也くん!真広くん!
あれ?電気が点いていない。誰もいないの?
夢叶
夢叶
あのー?誰もいないんですか?
バタン
後ろの扉が勝手に閉まる。
夢叶
夢叶
きゃあ!
後ろから誰かに抱き締められる。もがくけど、逃げられない!どうしよう!?
誰か、助けて!

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