結局、真広くんから眼鏡を返してもらえなかった。眼鏡が無い方が可愛いと押し切られてしまい、コンタクトのまま学校に行くことに。
教室に入ると、直ぐに女子の話のタネにされる。声を落として話しているつもりかもしれないけど、バッチリ聞こえています。
隣から声を掛けられる。そこには笑顔のクラスメイトの川西玲央くんが座っていた。
川西くんは、クラスの学級委員長でスポーツ万能で試験でも上位五位までには入っている。それに、明るくていつも人の輪の中にいる人気者。顔は、カッコイイ方かな?この頃、アイドル二人と一緒にいるから私の感覚が麻痺しているのかもしれないけど。
あれ?私、川西くんに話しかけられたの初めてかもしれない。
川西くんって、こんなにグイグイ来る人だっけ?
なんの折角?どういうこと?
まあ、連絡交換ぐらいなら普通だよね。
川西くんなんで、嬉しそうなんだろ?
今日も、例の二人の秘密の部屋に来ていた。
やっぱり、あの眼鏡ダサいのかな?私は、落ち着くのだけど。
それは、フォローしてくれているのかな?
プルルルル、プルルルル
あ、私か。
鞄の中から、携帯を取り出し発信者を見る。川西くんか。ま、いっか。それより、授業を。
え、朔也くん電話鳴ったことに怒ってる?
まだ、呼び出し音が鳴っている。私が、出るまで掛け続けるつもり?
真広くんが私の手から携帯を奪う。
なんか、まるで責められているみたい。
真広くんが勝手にボタンを押してしまう。て、これスピーカーにされてる!?
朔也くんがイライラし始める。
私、告白されているの?え、何で?私を好き?今日、初めて話したよね?
これは、驚きなのか分からないけど胸がドキドキしてくる。告白されたの初めてだし。
なんか、疑われている?
早く、電話を切ろう。
私も、初耳だ。え?彼女?朔也くんの?どういうこと!?
あ、朔也くん切っちゃった。明日、川西くんに謝っておこう。って、私彼氏いることになっちゃった。
さっきまで、あんなに怒っていたのに今は肩を落としている。
うん?どういうことだ?
あれ?朔也くんの眉間に皺が寄っている。また、怒ってるの!?
なんで、私怒られているんだ?
今日の真広くんは少し子供っぽいな。
真広くんが私の携帯をいじり始める。
えー?そんなこと言われても……
真広くんが満足そうに笑いながら私の頭を撫でてくる。
携帯が私の元に戻ってくる。殆ど、いなかった友達登録が過去最大に増えている。
やっと、眼鏡が返ってきた。
真広くんに頭を乱雑に撫でられる。いつも、優しく撫でてくれるのに、今日はどうしたんだろう?
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。