第9話

アイドルのジェラシー電話
3,136
2019/09/16 10:18
夢叶
夢叶
世界が違って見えるというのは大げさかな?
結局、真広くんから眼鏡を返してもらえなかった。眼鏡が無い方が可愛いと押し切られてしまい、コンタクトのまま学校に行くことに。
女子生徒1
女子生徒1
誰!?あんな可愛い子いた?
女子生徒2
女子生徒2
本当だ!誰だろう?転校生?
教室に入ると、直ぐに女子の話のタネにされる。声を落として話しているつもりかもしれないけど、バッチリ聞こえています。
?
久野さん?
夢叶
夢叶
はい
隣から声を掛けられる。そこには笑顔のクラスメイトの川西玲央カワニシレオくんが座っていた。
川西くんは、クラスの学級委員長でスポーツ万能で試験でも上位五位までには入っている。それに、明るくていつも人の輪の中にいる人気者。顔は、カッコイイ方かな?この頃、アイドル二人と一緒にいるから私の感覚が麻痺しているのかもしれないけど。
川西
川西
眼鏡かけてないから分からなかったよ。かけてない方がいいよ。すごく、可愛い
あれ?私、川西くんに話しかけられたの初めてかもしれない。
夢叶
夢叶
そうですか?あまり、変わらないと思うけど……
川西
川西
すごく、変わるよ!今の久野さん、すごくタイプかも
夢叶
夢叶
はあ
川西くんって、こんなにグイグイ来る人だっけ?
川西
川西
ねえ、折角だから連絡先交換しようよ
夢叶
夢叶
え?
 なんの折角?どういうこと?
夢叶
夢叶
私は、あまり連絡とかしませんよ?それに、来ても気付かないですし
川西
川西
大丈夫。俺、待っていられる方だから
まあ、連絡交換ぐらいなら普通だよね。
夢叶
夢叶
分かりました
川西くんなんで、嬉しそうなんだろ?



今日も、例の二人の秘密の部屋に来ていた。
真広
真広
夢叶っち、マジで眼鏡掛けないで行ったんだ
夢叶
夢叶
真広くんが返してくれなかったじゃないですか
真広
真広
だって、眼鏡掛けていない方がもっと可愛いんだもん
やっぱり、あの眼鏡ダサいのかな?私は、落ち着くのだけど。
朔也
朔也
眼鏡掛けていようが、掛けていまいがおまえは変わらない
それは、フォローしてくれているのかな?
夢叶
夢叶
私の眼鏡の事より、昨日のやるべき範囲と今日の範囲を合わせて終わらせるので早くワークを開いてください
プルルルル、プルルルル
真広
真広
朔也?
朔也
朔也
いや、ちげーけど
あ、私か。
夢叶
夢叶
すみません
鞄の中から、携帯を取り出し発信者を見る。川西くんか。ま、いっか。それより、授業を。
真広
真広
出なくていいの?
夢叶
夢叶
ええ。クラスの人なんで
朔也
朔也
男?
え、朔也くん電話鳴ったことに怒ってる?
夢叶
夢叶
ええ、そうですけど……
まだ、呼び出し音が鳴っている。私が、出るまで掛け続けるつもり?
夢叶
夢叶
あ、ちょっと!
真広くんが私の手から携帯を奪う。
真広
真広
川西?なに、こいつ友達?
なんか、まるで責められているみたい。
夢叶
夢叶
友達というか、その、今日連絡先を交換して……
真広
真広
へー。なら、出なよ
夢叶
夢叶
え?
真広くんが勝手にボタンを押してしまう。て、これスピーカーにされてる!?
夢叶
夢叶
え、あ、もしもし
川西
川西
ごめん。待ってられなくて、電話しちゃった
朔也
朔也
何が、電話しちゃっただよ
朔也くんがイライラし始める。
夢叶
夢叶
ごめんなさい。何か、急ぎの用ですか?
川西
川西
うーん、急ぎって言えば急ぎかも。ねえ、久野さん。俺、久野さんのこと好きなんだけど
夢叶
夢叶
はい?
川西
川西
俺と付き合って下さい
真広
真広
何?こいつ、ムカつくんだけど
私、告白されているの?え、何で?私を好き?今日、初めて話したよね?
これは、驚きなのか分からないけど胸がドキドキしてくる。告白されたの初めてだし。
真広
真広
ねえ、少し嬉しいとか思っていないよね?
夢叶
夢叶
え?いえ、そんなことは……
真広
真広
ふーん
なんか、疑われている?
夢叶
夢叶
あの、その……ごめんさない。付き合えないです
川西
川西
じゃあ、次の日曜日デートしよう
夢叶
夢叶
次の日曜日ですか?どうして?
川西
川西
お互いを知れば、少しは俺の事好きになるんじゃないかなって思って
朔也
朔也
は?なるわけねーだろ
真広
真広
朔也、シー!
夢叶
夢叶
ごめんなさい。それも、ちょっと出来ないです
川西
川西
俺のこと嫌い?
夢叶
夢叶
いや、そういうことじゃなくて……
早く、電話を切ろう。
朔也
朔也
だから、付き合わないって言っているだろ!?
夢叶
夢叶
朔也くん!
川西
川西
え、誰?誰かいるの?
朔也
朔也
さっきから、聞いていればおまえ、俺の彼女にしつこいんだよ
川西
川西
え?久野さん、彼氏いたの!?
私も、初耳だ。え?彼女?朔也くんの?どういうこと!?
朔也
朔也
は?おまえが居ない前提で話してるからだろ?いいか?二度と、夢叶にくだらねぇ電話掛けんな!分かったか!
川西
川西
は?ちょっと、待てよ、
あ、朔也くん切っちゃった。明日、川西くんに謝っておこう。って、私彼氏いることになっちゃった。
夢叶
夢叶
あのー朔也くん?
さっきまで、あんなに怒っていたのに今は肩を落としている。
朔也
朔也
悪い。言い過ぎた
夢叶
夢叶
でも、私の為にしてくれたんですよね?
朔也
朔也
……わかんねー。俺の為かも
うん?どういうことだ?
夢叶
夢叶
でも、助けるために彼氏だなんて嘘まで吐いてくれてありがとうございます。ちょっと、ビックリしましたけど
あれ?朔也くんの眉間に皺が寄っている。また、怒ってるの!?
真広
真広
夢叶っち、男なんかと軽々しく連絡先交換なんてしちゃだめ。男は、みんなケダモノなんだよ?分かってる?もっと、危機感を持って!
なんで、私怒られているんだ?
夢叶
夢叶
でも、クラスの人ですし……
真広
真広
はあー分かってない!いいから、約束して!
今日の真広くんは少し子供っぽいな。
夢叶
夢叶
分かりました。気を付けます
真広くんが私の携帯をいじり始める。
真広
真広
全く、僕達の先生だっていうのに僕の連絡先を入れてないんなんてサイテー
えー?そんなこと言われても……
真広
真広
はい。僕が入れておいてあげたから!いい?一日三回以上、僕に連絡すること!これ、ノルマ!
夢叶
夢叶
え、どうしてですか!?
真広
真広
どうしてって……僕がそうして欲しいから!悪い!?
夢叶
夢叶
い、いえ!頑張ります
真広くんが満足そうに笑いながら私の頭を撫でてくる。
朔也
朔也
真広、自分だけ入れるなよ。おまえ、携帯貸せ。俺のも入れる。三回じゃなくてもいいから、その、一日一回は連絡してこいよ……
携帯が私の元に戻ってくる。殆ど、いなかった友達登録が過去最大に増えている。
真広
真広
それと、これ返す
やっと、眼鏡が返ってきた。
真広
真広
眼鏡外すのは僕達の前だけにしてね
夢叶
夢叶
ええ。そうですね。眼鏡を掛けていないと周りの人の反応が違くてちょっと怖かったです。二人だけですよ。変わらないでいてくれたの。すごく、嬉しかったです!
朔也
朔也
馬鹿……当たり前だろ!
真広
真広
他の人間と一緒にしないでよ!
真広くんに頭を乱雑に撫でられる。いつも、優しく撫でてくれるのに、今日はどうしたんだろう?

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