第94話

93話:蘭side
29,028
2022/11/11 22:00
カランコロン。













後ろでドアの開く音がし、カウンターに立っている安室さんが「いらっしゃいませ。」と顔を上げた。













すると安室さんの目が輝き始める。











安室透
お久しぶりですね!
あなた
お久しぶりです。











その声に私と、私の隣に座っていた園子も目を輝かせて振り向いた。











毛利蘭
お久しぶりですあなたさん!
鈴木園子
お久しぶりです!
鈴木園子
それと本当におめで…











すると園子が途中で口を止める。













園子の視線を辿り、私も驚いた。













あなたさんの後ろに彼が立っていたから。













あなたさんが前に可愛いと写真を見せてくれた…伏黒という男性が。











鈴木園子
え…っと、ここには二人で?
 











園子は動揺したまま、あなたさんにそう訊いた。











あなた
はい。
あなた
今まで私が買い物に…伏黒君は付き添ってくれてました。











あなたさんがそう紹介すると、彼は顔を上げて「…どうも。」と会釈をする。











鈴木園子
ど、どうも。
毛利蘭
こんにちは。











ぎこちなく私と園子は会釈を返した。











鈴木園子
…ねえ、これってどう思う?











するとすぐに園子が耳打ちをしてくる。











毛利蘭
どっちから誘ったかによらない?
鈴木園子
じゃあ私聞いてみる!
毛利蘭
えっ
鈴木園子
付き添いって、あなたさんから誘ったんですか?
 










止める間もなく、園子は本当にそう口を開いた。













そんな問にあなたさんは、どうしてそんな事を聞くのかと不思議そうな顔をする。











あなた
えっと…
あなた
伏黒君が提案してくれて…
鈴木園子
そうなんですね!











園子は笑顔でそう返すと、再び私に耳打ちをした。











鈴木園子
やっぱり!絶対そうだって!!
毛利蘭
えー…でもそうしたら…











はしゃいでいる園子とは逆に、私は落ち込み気味の声が出る。











鈴木園子
三角関係!三角関係の出来上がりよ!!
毛利蘭
三角関係って…











「でも決まった訳じゃなくない?」と言うだけ言ってみた。











鈴木園子
確かにそうだけど…
鈴木園子
まあほとんど確定よね!
鈴木園子
あ、あなたさん!
鈴木園子
本当におめでとうございます!私も嬉しいです!











園子はしゃいだまま、あなたさんにそう伝える。













するとあなたさんの後ろに立っている彼が、不思議そうな表情を浮かべた。











伏黒恵
何か祝い事でもあったんですか?
あなた
…あー……えっと……
鈴木園子
あなたさんと安室さんが恋人になったんですよ!
鈴木園子
今日ここはお祝いの席で集まったんです!











言いにくそうなあなたさんに代わり、園子が彼にそう教えた。











伏黒恵
………
伏黒恵
……











少しの時間が経った後、彼は小さく声をもらした。











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