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モトキside
この部屋に入れられてから、どのくらいが経ったんだろう。
どんなに暑くてもめったに脱がない長袖。身体中についた手の跡。動く度にジャラジャラとなる手錠。どうやら俺が寝ているベットと繋がれているようだな…
この手錠、どうにか外そうとしたけど、絶対にはずれない。
動く度に手錠ご手首に食い込み、痛みが生じる
ーーーーマサイは怖い。
でも優しい。ーーーー
体が小刻みに震えている。拒否反応を示すかのように…
嫌だ、、嫌だ、、また同じ思いをするのは…
嫌だ…
あの笑顔には絶対に逆らえない。何があっても従わないといけない。
マサイは笑顔で俺にご飯を持ってきた。
マサイはそう言って笑った。
恐る恐るご飯を口に運ぶ。
俺は力ない笑顔で微笑んだ。
そう言ってマサイは俺の手錠を外す。
俺の手首は手錠の跡で赤くなっていた。
マサイside
「話して欲しくない」って言ったけど、実際は「話すな」だ。
手錠をモトキの手首から外した。
日に日に俺のものっていう印が濃くなってる…
すごく嬉しい…
俺は怯えているモトキに、優しくキスを落とした。
手錠で赤くなっている所にもキスを落とす。
モトキは普通にフィッシャーズの動画に出ている。ただ、動画が終わったらすぐに、俺だけしか見れない〕「この部屋」につれてくる。
モトキは声を震わせながら言う。
俺はモトキの言った言葉に怒りが込み上げてきた。
モトキside
ああ、やってしまった。マサイの目の色が変わった。こうなったらもうおしまいだ。
マサイはそう言うと、俺が着ていたパーカーを脱がして、俺を思いっきり叩き始めた。
ああ、今日はどれだけ叩かれるんだろうな…
一生この痛みにはなれないな…
前にマサイに聞いてみたことがあった。
何でこの部屋に俺を閉じ込めるのか。
マサイは笑いながら、
って、言っていた。
俺は苦しそうに言う。
身体中が赤くなり、腫れていたり、内出血したりしている。
しばらくするとマサイが焦って謝ってきた。
目の色が戻って、いつものマサイになっていいる。
そう言ってパーカーを着せてくれた。
俺は知っている。マサイが怒って手を上げるのは、俺に言うことを聞いてほしいからだと。
俺とマサイは付き合っているが、正直なところ、マサイからの暴力が怖い。
シルクが来てるみたいだ。リビングからシルクの声が聞こえた。
マサイがシルクにそう言い、俺の方を向いて笑って言った。
俺とマサイはシルクの元へ行くために「この部屋」を出た。まだ身体中が痛い…
シルクが不思議そうに聞く。
シルクはやっぱり鋭い。流石だな…
俺は無理して笑い、そう言った。
シルクはそう言うと、動画をとる準備をし始めた。
ねぇ、シルク。助けて…マサイが…
マサイが怖いよ…
怖くて仕方ないんだよ…
助けて…
俺が見ると、いつもの笑顔でマサイが俺を手招きしていた。シルクも動画の録画ボタンを押そうとしている。
俺が位置につくと、動画を撮影し始めた。
また、「あの部屋」に連れてかれるんだろうな…またマサイに叩かれる…
俺が横を向くと、マサイが笑顔で俺を見てきた。あの笑顔が今は怖い。
俺はひきつった笑顔でマサイに笑い返した。
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。