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第4話

4話~2日目・朝~
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2019/09/30 19:21
和田 樹
和田 樹
天音、どうしたんだ!!
笠原 天音
笠原 天音
奈緒が殺されちゃった。
自分でも驚くほどの低い声に、雷も樹も驚いた顔をした。

落ち着け、私。




そう唱えれば唱えるほど、心は苦しくなっていく。
佐々木 雪乃
佐々木 雪乃
…っ!!
田河 夏菜
田河 夏菜
雪乃ちゃんっ!?
奈緒の死体を見て息を詰まらせ、しゃがみこんでしまった佐々木さんに田河さんが駆け寄る。

初宮 友也
初宮 友也
誰がこんなことっ、、。
初宮くんもきて、あと来ていないのは相田くんだけ。


…ん、ていうか、なんでゆりあは、奈緒の部屋に来ていたの??


私の中で浮かび上がって来た、ほんの少しの疑問はやがてひどく醜いものに変わっていく。


…、、、ゆりあが人狼で、わざと悲鳴をあげた…??
私は樹に心配をかけたくなくて、雷にそっと耳打ちする。
笠原 天音
笠原 天音
あとで話したいことがあるの。
九条 雷
九条 雷
わかった、あとでね。
雷は目を見開いて驚いた顔をしたが、すぐにいつも通りの顔に戻った。





和田 樹
和田 樹
ん、どうした?
笠原 天音
笠原 天音
なんでもないよ。
私はすぐに首を振る。


奈緒をベットに寝かせ直すと、私たちは各自、探索をしたり、部屋に戻ったりした。



私は雷にこっそりと、『あとで部屋に来て。』と言って、『一緒にいようか?』という樹には断りを入れた。


ごめんね、樹。
樹にだけは迷惑をかけられないから、私。






九条 雷
九条 雷
天音、入るぞ。
笠原 天音
笠原 天音
うん。
心配そうな顔をしている雷を見て、私はどうしたものかと考えてしまう。

雷は市民だよね?
笠原 天音
笠原 天音
雷は市民だよね?
九条 雷
九条 雷
うん、そうだよ。
直球に聞いてしまった質問に、嫌な顔をせず、雷は答えてくれた。
嘘…な訳ないよね。
笠原 天音
笠原 天音
ねえ、私は誰を信じればいいの?
笠原 天音
笠原 天音
誰を信じたら…幸せにいれる?
九条 雷
九条 雷
 樹のことも信じられないの?
九条 雷
九条 雷
俺のことも…?
違う、違うの!!


…違う、くはないけど違うの。
笠原 天音
笠原 天音
奈緒が殺されちゃって。
一番怪しいのはゆりあだと思うの。
九条 雷
九条 雷
…どうして?
笠原 天音
笠原 天音
なんで、奈緒の部屋の扉をゆりあが開けたのか…って。
叫んだのも自作自演じゃないかなって。
そう考えるとね、誰も信じられなくなってってちゃったの。

雷のことが信じられないとかじゃなくて、自分がどうしたらいいのかわからない。



…全部を思いの丈に話した。
雷はずっと聞いてくれて、頷いてくれた。
九条 雷
九条 雷
天音は、勝ちたいの?
笠原 天音
笠原 天音
え?
勝ちたいの?はイコール、誰かを殺してまで生きたいの?という意味。


…だよね?



そんなの、そんなのわかんない。
でも。
笠原 天音
笠原 天音
死にたくはない…よ。
九条 雷
九条 雷
なら、生きるしかないよ。
勝つしかないよ。
九条 雷
九条 雷
誰を失っても、自分だけを生き残らせるって言う意志でやらなきゃ。
笠原 天音
笠原 天音
うん。
決意は固まったよ?多分だけど、うん。

雷は良かったと、言うと、部屋から出て行った。


私は一人で心を落ち着かせる。




どうすべきか。
生きるためには、奈緒の分まで生きるためにはどうすることが最善か。



頑張らないと。

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