今日は、水曜日か…確か
家庭科の調理実習があったな。
僕は、大きなあくびをして、自分の
教室の席に着いた。
僕は、ニヤリと笑うと
ために溜めてから…
と、キメ顔で言い放ったが、
まどちゃんは、ジト目で僕を見ながら
「へ〜、よくわからない」
と、薄めのリアクションで終わってしまった。
僕が不満そうな顔で、口を尖らせていると
背中にピタリと誰かの手が触れた。
僕は、ふうとため息を、吐くと
椅子に座った。
僕とちひろの、やりとりを見て
「ふふふ」と、まどちゃんが笑った。
僕が首を傾げると、まどちゃんは
と言った。
まどちゃんは、頬に手をつくと
窓際を見ながら…
と、普段のまどちゃんじゃ、言わないような
事を呟いた。
その会話に、ふいに現れた
一人の男子。
そうだな、翔が一番早く、大人への
道を歩んでいきそうだな…
僕も、いつかは、そうなるのかな?
楽観的なちひろは、ブンブンと
手を振って興奮している。
そうして、僕たちは
楽しい夏休みを迎えるため…血の滲むような
過酷なテスト勉強に耐え抜き、無事…
テスト期間が終了した。
夏休みに入ってからも…
特にこれと言って大きな出来事は、無かった
けど、僕たち4人で行った夏祭りは
夏一番の楽しい思い出となった。
それぞれの見た目とか…
服装、それに考え方…
みんな人それぞれ違うけど
違うからこそ、楽しいって思えるだと思う。
いつか僕には、彼女ができて
ちひろには、彼氏ができるかもしれない。
大人になって、考え方や
好きだったものが変わり…友達も
多少は、増えるかも。手を伸ばせば
ちひろや、まどちゃん、翔がいて
そして夏休み明け…
教室に入ると僕は元気に挨拶をした。
この話は、僕の高校2年生だったころの
とある一部分の物語だったんだ。
───END────
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。