僕は思う…
自分が女だからといって、女の子を
好きになっちゃいけない理由なんて
ないって。
僕は、幼馴染みの
三国 ちひろの玄関の
インターホンを鳴らす。
ピンポーン
そして、3秒後…
ふにゃとした、しまりけのない
声が、家の中から聞こえる。
僕は、再びインターホンを
数回押し、慌ててちひろが
玄関から出てきた。
ぷくうっと、ほっぺを膨らませてる
こいつが、僕の幼なじみだ。
髪は、僕より長く…そして
綺麗な顔をしている。
でも、こいつは
一応男子だ。
なんで、こんな話を朝から
聞かされなきゃならんのだ…
僕は、頭をポリポリとかき
ため息をつく。
その時…路地の曲がり角から
急にスピードを上げた車が
僕たちの方に向かって来た。
ドン
ふらふら歩いてる、ちひろを
捕まえ、引っ張る。
車は、そのままブーンっと
通り過ぎて行った。
下を、見ると
首元を掴んでいたせいか
ちひろが、青い顔をして
僕の腕を叩いている。
僕は、パッと手を離し
ちひろを解放し、ちひろは
ハアハアと、呼吸を荒くしながら
僕を睨んでいいる。
本当に、ちひろは
もやしっ子だなぁ。
腕もヒョロヒョロだし
頼りがいは、なさそうだ。
そんなこんなで、僕たちは
学校に着いた。
学校で、僕たちみたいな
存在が浮いてるかって
思うかもしれないけど…
案外平和に暮らしてる。
ちひろの方は、女子より
可愛いとか言われ、浮かれて
いるようだが…あんな女の子が
いてたまるかぁ!
などと、僕の気持ちは置いといて
親友の小鞠まどかちゃん。
通称まどちゃんの、隣の席に座る。
僕は、机に
頭を伏せ、ガックリと落ち込む。
チャイムがなり、1時間目の
授業が始まる。
教科書を握り締めながら
僕は密かに魂が今にも消えそうだった
事を、覚えている。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。