第18話

迷いの館
49
2020/05/01 01:00
ギイイイ…

扉が開き中に入ると、ロビーには高そうな
壺やら花が、たくさん飾ってあった。
三国 ちひろ
三国 ちひろ
綺麗…
天井を見上げると、可愛い
シャンデリアが飾ってあった。
木嶋 優
木嶋 優
ちひろ、早くおいで
三国 ちひろ
三国 ちひろ
あ、待って
私は、急いで優くん達の所に向かう。
シャララ…
三国 ちひろ
三国 ちひろ
一瞬聞こえた鈴の音…
私は、後ろを振りかえった。
三国 ちひろ
三国 ちひろ
あれ?何もいない…
エレナ・レナルドフ
エレナ・レナルドフ
どうかなされましたか?
三国 ちひろ
三国 ちひろ
ひゃわっ!な、なんでもないでしゅ
噛んじゃった…エレナさんに
急に声をかけられて、驚いてしまった。
エレナ・レナルドフ
エレナ・レナルドフ
ふふふ、広いですよね。
このお屋敷…
三国 ちひろ
三国 ちひろ
そ、そうですね。大きいです
エレナ・レナルドフ
エレナ・レナルドフ
私も、初めて来た時は
貴女と同じような感じでしたよ。
三国 ちひろ
三国 ちひろ
そうなんですか?
エレナ・レナルドフ
エレナ・レナルドフ
でも、お嬢に出会って不思議と
不安とか寂しさなんて、消えちゃい
ました。
エレナ・レナルドフ
エレナ・レナルドフ
お嬢には、秘密ですよ
三国 ちひろ
三国 ちひろ
わかりました。まかせて下さい♫
目を細めて笑ったエレナさんの顔は
とても綺麗だった。
使用人
使用人
エレナさん、ちょっと
良いですか?
エレナ・レナルドフ
エレナ・レナルドフ
はい、今行きます。
エレナ・レナルドフ
エレナ・レナルドフ
あ、優殿達なら
突き当たりを真っ直ぐ行って
右の方に行かれましたよ。
エレナ・レナルドフ
エレナ・レナルドフ
それでは、私は仕事に戻りますね。
ごゆっくりどうぞ。
エレナさんから、スッと笑顔が消えて
階段の方へ行ってしまった。
三国 ちひろ
三国 ちひろ
・・・
シーン
三国 ちひろ
三国 ちひろ
広すぎるよね、ここ…
えっと、真っ直ぐ行って、右だっけ?
私は、言われた通り
向かうことにした…のだけど
三国 ちひろ
三国 ちひろ
あれ?おかしいな
優くん達いないよ?それに
また、扉が増えてどっちに行ったか
わかんない…
そうだ!電話しよう…
バックからスマホを取り出すと…

画面にバッテリー切れの文字が出て
プシュと画面が黒くなり消えた。
三国 ちひろ
三国 ちひろ
な、なな…なんで!?もう!!
こういう時に限って充電切れるん
だから…
私は、茶色いドアのドアノブに
手を掛けるが…もしかしたら

白いドアの方かもしれないと
思うと、再び迷いだす。
三国 ちひろ
三国 ちひろ
ああ、もう!
こっちだ‼︎
茶色いドアノブを回した瞬間
後ろから、またシャララと鈴の音が聞こえた。
三国 ちひろ
三国 ちひろ
う、嘘…私を付けて来てるの?
怖い…
自分だけにしか、聞こえてないの?
でも、この屋敷に来るまではそんな

音は、全然聞こえなかったよね?
私、呪われちゃったとか?

カサカサカサ…
三国 ちひろ
三国 ちひろ
ひいっ
まるで、生きてるみたい。
今度は袋でも漁ってるような
変な音がする。
三国 ちひろ
三国 ちひろ
私は、何も持ってないよ?
だから、あっち行って‼︎お願いだから…
目をギュッと瞑り
何かがいなくなるのを、待つ。

早く優くんに会わなくちゃ…
でも、この屋敷が広過ぎて

というか…扉の数が多すぎて
どこがどこに、繋がってるのかさえ
わからない。

さっき、優くんに言われた時
ちゃんと後を、付いて行っていれば
よかった…

三国 ちひろ
三国 ちひろ
優くん…まどかちゃん…椿姫ちゃん…
心細くてみんなの名前を
読んだけど返事なんて返ってくるわけ…
猫
ニャー
三国 ちひろ
三国 ちひろ
えっ?
猫
ニャーニャー
返事をしたのは、黒猫だった。
私の足元を、クルクルと歩き回っている。
三国 ちひろ
三国 ちひろ
どうしたの?君…ここの家の子?
猫
ニャー
シャララ…
三国 ちひろ
三国 ちひろ
鈴の音?あっ!この子だ
さっきから聞こえてた、鈴の音の正体は
首元には、キラリと光る鈴の首輪。
後ろには、青色のリボンが巻かれている。
三国 ちひろ
三国 ちひろ
はあ〜怖かった。
猫だなんて、分からなかったよ。
得体の知れない怖い者って思っちゃった
私は、しゃがむと黒猫の首輪を
見つめる。そこには、英語で…
三国 ちひろ
三国 ちひろ
クラリス?
と、書かれていた。
三国 ちひろ
三国 ちひろ
君の名前?
猫
ニャー!
猫は、そうです。と言うように
タイミング良く鳴いたので
私は、頷いた。
三国 ちひろ
三国 ちひろ
そうか、そうなんだ…
椿姫ちゃんが飼ってる猫だよね?きっと
猫
ニャー、ニャー、ニャー
三国 ちひろ
三国 ちひろ
あっ、待って…どこ行くの?
クラリスは、突然走りだすと
白い扉を爪でガリガリ…

私が扉を開けると、次は黒い扉を
引っ掻き、次は、次はと扉を
爪で引っ掻くのだ。
三国 ちひろ
三国 ちひろ
クラリス待って、何がしたいの?
何個目のドアだろうか。
ガチャリと、ドアノブを捻ると…そこには
木嶋 優
木嶋 優
ちひろ、お前
どこにいたんだよ?
御子神 椿姫
御子神 椿姫
ちひろさん、すみません。
今探してもらっていたんですが…
小鞠 まどか
小鞠 まどか
黒猫?ちひろちゃんが連れて来たの?
三国 ちひろ
三国 ちひろ
みんな〜‼︎良かった
もう会えないかと思ったあ
どうやら、クラリスは
道案内をしてくれたみたい。
三国 ちひろ
三国 ちひろ
クラリス!ありがとう
猫
猫
ミャ〜
木嶋 優
木嶋 優
おいおい、ちひろは
その猫に道案内されてたのかよ?
三国 ちひろ
三国 ちひろ
うん!お陰でみんなの所に
戻ってこれたよ。
椿姫ちゃんは、クラリスを抱き上げると
不思議そうに笑った。
御子神 椿姫
御子神 椿姫
この子が、懐くなんて
珍しいですよ?怖がりな子ですから
猫
ミャ〜
御子神 椿姫
御子神 椿姫
よく、クラリスって名前だって
わかりましたね?
小鞠 まどか
小鞠 まどか
確かに
三国 ちひろ
三国 ちひろ
それはね…首輪に書いてある名前を
呼んだら返事をしたから。
御子神 椿姫
御子神 椿姫
返事を…ですか?
クラリス
クラリス
ミャ〜
ありがとう。クラリス…
私を怖がらせたのもあなた
だったけど、助けてくれたのも

あなただった。なんか、不思議だね。
木嶋 優
木嶋 優
それより、お腹すいた。
御子神ちゃん、カップラーメンある?
優くん、優しいな。
昼ごはん食べないで待っててくれたんだ。
小鞠 まどか
小鞠 まどか
よその家に来て、食べる気満々ね。
本当、優は…どこに行っても変わらない
わね。
木嶋 優
木嶋 優
はい、まどちゃん笑わない!
いいの、僕はこれで…
御子神 椿姫
御子神 椿姫
・・・あの〜
小鞠 まどか
小鞠 まどか
ん?
御子神 椿姫
御子神 椿姫
その…たいへん言いにくいのですが
カップラーメンとは、何でしょうか?
木嶋 優
木嶋 優
えっ
小鞠 まどか
小鞠 まどか
知らないの?3分待って
食べるラーメンを!?
御子神 椿姫
御子神 椿姫
すみません!!勉強不足でした
三国 ちひろ
三国 ちひろ
うそ〜カップラーメン知らないなんて
やっぱり、お嬢様だから?
木嶋 優
木嶋 優
さっきまでと、全然違うな
アハハ
三国 ちひろ
三国 ちひろ
むう!さっきのは忘れて
クラリス
クラリス
くぁ〜
その後、エレナさんが
風の如くコンビニでカップラーメンを

買ってきて、みんなで食べた。
遊園地に行くより、不思議な世界だったと
椿姫ちゃん家に来て、私はそう思った。

でも、すっごく楽しかったから…
私は大満足です。ねっ、クラリス?
クラリス
クラリス
ニャ〜♫

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