ギイイイ…
扉が開き中に入ると、ロビーには高そうな
壺やら花が、たくさん飾ってあった。
天井を見上げると、可愛い
シャンデリアが飾ってあった。
私は、急いで優くん達の所に向かう。
シャララ…
一瞬聞こえた鈴の音…
私は、後ろを振りかえった。
噛んじゃった…エレナさんに
急に声をかけられて、驚いてしまった。
目を細めて笑ったエレナさんの顔は
とても綺麗だった。
エレナさんから、スッと笑顔が消えて
階段の方へ行ってしまった。
シーン
私は、言われた通り
向かうことにした…のだけど
そうだ!電話しよう…
バックからスマホを取り出すと…
画面にバッテリー切れの文字が出て
プシュと画面が黒くなり消えた。
私は、茶色いドアのドアノブに
手を掛けるが…もしかしたら
白いドアの方かもしれないと
思うと、再び迷いだす。
茶色いドアノブを回した瞬間
後ろから、またシャララと鈴の音が聞こえた。
自分だけにしか、聞こえてないの?
でも、この屋敷に来るまではそんな
音は、全然聞こえなかったよね?
私、呪われちゃったとか?
カサカサカサ…
まるで、生きてるみたい。
今度は袋でも漁ってるような
変な音がする。
目をギュッと瞑り
何かがいなくなるのを、待つ。
早く優くんに会わなくちゃ…
でも、この屋敷が広過ぎて
というか…扉の数が多すぎて
どこがどこに、繋がってるのかさえ
わからない。
さっき、優くんに言われた時
ちゃんと後を、付いて行っていれば
よかった…
心細くてみんなの名前を
読んだけど返事なんて返ってくるわけ…
返事をしたのは、黒猫だった。
私の足元を、クルクルと歩き回っている。
シャララ…
首元には、キラリと光る鈴の首輪。
後ろには、青色のリボンが巻かれている。
私は、しゃがむと黒猫の首輪を
見つめる。そこには、英語で…
と、書かれていた。
猫は、そうです。と言うように
タイミング良く鳴いたので
私は、頷いた。
クラリスは、突然走りだすと
白い扉を爪でガリガリ…
私が扉を開けると、次は黒い扉を
引っ掻き、次は、次はと扉を
爪で引っ掻くのだ。
何個目のドアだろうか。
ガチャリと、ドアノブを捻ると…そこには
どうやら、クラリスは
道案内をしてくれたみたい。
椿姫ちゃんは、クラリスを抱き上げると
不思議そうに笑った。
ありがとう。クラリス…
私を怖がらせたのもあなた
だったけど、助けてくれたのも
あなただった。なんか、不思議だね。
優くん、優しいな。
昼ごはん食べないで待っててくれたんだ。
その後、エレナさんが
風の如くコンビニでカップラーメンを
買ってきて、みんなで食べた。
遊園地に行くより、不思議な世界だったと
椿姫ちゃん家に来て、私はそう思った。
でも、すっごく楽しかったから…
私は大満足です。ねっ、クラリス?
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。