第17話

黒のベンツの中
35
2020/04/26 04:00
-ピッ-
木嶋 優
木嶋 優
えーっと…どうする?
僕は、ポリポリと頭を
かきながら不機嫌そうな2人の
姫様を見つめる。
三国 ちひろ
三国 ちひろ
ショック〜遊園地閉まってたよ…
ちひろは、ズーンと締められた
柵に手をかけ落ち込んでいた。
小鞠 まどか
小鞠 まどか
御子神みこがみさん家に
行くかどうかでしょ?
木嶋 優
木嶋 優
うん
小鞠 まどか
小鞠 まどか
まあ、他に行く所も
ないし…彼女の家がどんな感じかも
友達として気になるじゃない?
木嶋 優
木嶋 優
じゃあ、行くってことで
いいの?
小鞠 まどか
小鞠 まどか
まあ、優が行きたいなら…
行ってあげてもいいわよ
木嶋 優
木嶋 優
ハハハ、了解
三国 ちひろ
三国 ちひろ
遊園地〜
僕は、再び御子神ちゃんに
電話をかけると、すぐに車を

そちらに向かわせるなんて言うから
ちょっと驚いてしまった。





15分後…本当に車が来た。
真っ黒なベンツの外車だ。
ガチャ…
女性
女性
お待たせして、すみません。
どうぞ、お乗りください。
運転席から出てきたのは、身長が
高い綺麗な外国の女の人だった。

一目惚れとは、このことだ。
僕は、頭の中がふわふわとお花畑に
なってしまった。
木嶋 優
木嶋 優
貴女ほど綺麗な人を、僕は
見たことがない。
女性
女性
まあ、嬉しいですわ。
ふふ、さあ…お手を取ってくださる?
木嶋 優
木嶋 優
ええ、喜んで…
小鞠 まどか
小鞠 まどか
優…
小鞠 まどか
小鞠 まどか
優!優‼︎
木嶋 優
木嶋 優
うわっ!
ゴチン💫
木嶋 優
木嶋 優
痛ってぇ〜
小鞠 まどか
小鞠 まどか
今、窓ガラス
すごい音したわよ?大丈夫
木嶋 優
木嶋 優
え…あっ
ヒリヒリと痛む額を、さすりながら
辺りをキョロキョロ見渡すと

僕たちは、黒のベンツの中にいて
綺麗な外国人の人は、沈黙で
運転をしていた。
三国 ちひろ
三国 ちひろ
優くん、見てみて
ここに色んなボタンがあるよ。
三国 ちひろ
三国 ちひろ
押して良いかな?
ちひろは、ニコニコと子供みたいに
はしゃいでいる。
木嶋 優
木嶋 優
変な場所は、押すなよ
壊したら大変だ。
三国 ちひろ
三国 ちひろ
はーい♫了解です。
木嶋 優
木嶋 優
・・・
本当に、わかってるのかコイツは。

席順は、僕は一番右に。
まどちゃんは真ん中。

ちひろは、左に座り、それぞれ
流れる景色を静かに眺めていた。

その時、小さなため息が
微かに聞こえた。
御子神 椿姫
御子神 椿姫
今日は、本当にすみません…
私、寝坊しちゃって
助手席から、ちらりと
人影が見えた。
木嶋 優
木嶋 優
あれ!御子神みこがみちゃん
乗ってたの?
御子神 椿姫
御子神 椿姫
はうっ
御子神 椿姫つばきに10のダメージ
御子神 椿姫
御子神 椿姫
すみません、影薄くて…
そうですよね。私なんていても
いなくてもきっと同じよね。ブツブツ
女性
女性
そんなこと、ありません。
お嬢、元気を出してください。
ブレーキをかけ、信号が
止まると、運転していた彼女が

御子神ちゃんを、あれこれと
必死で励ましていた。
三国 ちひろ
三国 ちひろ
あのー、ずっと気になってたんだけど
そちらの方って?
ちひろは、御子神ちゃんに
質問した。
御子神 椿姫
御子神 椿姫
ああ、彼女は…
私の屋敷の使用人の
エレナ・レナルドフ
エレナ・レナルドフ
エレナ・レナルドフで御座います。
エレナ・レナルドフ
エレナ・レナルドフ
いつも、お嬢がお世話になって
おります。
小鞠 まどか
小鞠 まどか
す、すごい…本物の使用人ってわけ?
御子神さん、いや…椿姫つばきって
呼んでいい?
御子神 椿姫
御子神 椿姫
はい!
小鞠 まどか
小鞠 まどか
あなた、本物のお嬢様なのね?
御子神 椿姫
御子神 椿姫
まあ、家が少しばかり
裕福なだけですよ。
小鞠 まどか
小鞠 まどか
(裕福ってレベルじゃないわよ…)
小鞠 まどか
小鞠 まどか
(これは…ドラマじゃあるまいし)
その後、エレナさんが車を
走れせること10分ぐらいで、黒門を

潜り、大きな大庭園つきの
お屋敷に着いた。
ガチャ
エレナ・レナルドフ
エレナ・レナルドフ
着きました。
ここが御子神家みこがみけ椿姫つばき様専用の館と
なっております。
木嶋 優
木嶋 優
すげーでかい家…
僕が、巨大な屋敷を見上げていると
ちひろが腕に抱きついてきた。
三国 ちひろ
三国 ちひろ
ここは、日本?外国?
私は…どこかの異世界に来ちゃったの?
かなり混乱しているようだった。
御子神ちゃんって、すごいな。

こんな大きな屋敷に住んでたのか。
知らなかった。それにしても、よく遊園地に
行こうなんて誘いO Kしてくれたよな。
御子神 椿姫
御子神 椿姫
さ、中へ案内しますよ。
小鞠 まどか
小鞠 まどか
ねえ、聞いていい?
ここは、椿姫1人で住んでるの?
家族は…一緒じゃなくて?
あ、僕もそこが気になってた。
確か今、椿姫様専用の館って言ってた
からな…
御子神 椿姫
御子神 椿姫
あ、はい。
ここには、私だけです。
本邸は、別の場所にあって、そこに
父と母は、暮らしてます。
小鞠 まどか
小鞠 まどか
そうなの、寂しくない?
御子神 椿姫
御子神 椿姫
まどかさん…
小鞠 まどか
小鞠 まどか
まどかで、良いわよ?
堅苦しいでしょ
御子神 椿姫
御子神 椿姫
いえいえ!そんな
恐れ多いです。
エレナ・レナルドフ
エレナ・レナルドフ
お嬢、寂しかったのですか?
私の配慮が足りず、申し訳ありません!
御子神 椿姫
御子神 椿姫
い、いや!寂しくないわ
だって、エレナと屋敷で2人で
暮らしてるし、使用人達は、日替わりで
掃除や料理を作りに来るから!大丈夫よ
小鞠 まどか
小鞠 まどか
そうなの?ふふ
エレナさんと、仲良しなのね
御子神 椿姫
御子神 椿姫
ち、違います!
べつに、エレナとは…そんなんじゃ
エレナ・レナルドフ
エレナ・レナルドフ
私は、感動しました。
お嬢がそう思っていてくれて
たいへん嬉しゅう御座います。
御子神 椿姫
御子神 椿姫
ちょ、エレナ…恥ずかしいから
子供扱いは、やめなさいって
いつも言ってるでしょ…
木嶋 優
木嶋 優
クスっ…御子神ちゃんって
本当に面白いね。
木嶋 優
木嶋 優
喋り方とか、やっぱり
お嬢様っぽいよ…意外な一面
知っちゃった。
御子神 椿姫
御子神 椿姫
す、すみません。
長々と私ばかり…
小鞠 まどか
小鞠 まどか
もう、いっそ…学校でも
その喋り方にしたら?可憐なお嬢様
なんてカッコよくない?
御子神 椿姫
御子神 椿姫
可憐なお嬢様?
は、恥ずかし過ぎます////
お昼が過ぎた頃、ようやく
屋敷の中へ僕たちは、入って行ったのだった。

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