優くん…今頃
無事メロさんと会えてるかな…
俺は、自分の部屋のベッドに
転がり伸びたり縮んだりしながら
過ごしていた。
その時…スマホから音楽が流れる。
この曲は…優くんから?
ピッ
ピー…ピー
どういう事だろう?
今頃は、俺の代わりにメロさんに
会ってるはずじゃ?
まさか、もうバレたのか?
一応、言われた通り
公園に自転車で向かう。
あの公園なら15分もかからず、
到着するだろう。
キキッイ…自転車を止めて
公園に着くと優くんが、不機嫌そうな
顔で俺を睨んできた。
優くんの隣には、髪を左右お団子に
した俺と同じ歳ぐらいの女の子が
立っていた。
優くんが、俺を指差し
女の子が頷く。
優くんめ、自分でバラしたって
どういう事だよ?
助けを求めるように、優くんに
声をかけたが…優くんは静かに
そう呟いて、歩いてどこかに
消えてしまった。
どうしよう…この子がメロさん?
ダメだ…直視できない。
こうなることが、わかってたから
優くんに頼んだのに。
メロさんは、ベンチに座ると
小さいバックから、スマホを取り出して
「騎士団と封印のドラゴン」の画面を開いた。
晴れた青空の下で、ゲームに
魂を燃やす2人の男女が
熱く熱く日が暮れるまで
ゲームの話をたくさんしたらしい。
その日の、夜…僕が風呂から
上がると翔からこんなL◯NEが届いてた。
そこには、なか慎ましく写る
ロイドとメロさんのツーショット
写真が送りつけられていた。
僕は、ムカついて「バーカ、バーカ」と
ふざけたスタンプを送ってやった。
そっと、スマホを切り
僕は部屋を出た。
窓を開けると、夜空には
満天の星たちが輝いていた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!