第22話

約束を果たして。
35
2020/05/13 04:00
江名本 翔
江名本 翔
・・・
優くん…今頃
無事メロさんと会えてるかな…
俺は、自分の部屋のベッドに
転がり伸びたり縮んだりしながら
過ごしていた。

その時…スマホから音楽が流れる。
この曲は…優くんから?
ピッ
江名本 翔
江名本 翔
もしも…
木嶋 優
木嶋 優
僕だ、今すぐ来い‼︎
バス停裏のカエルの置物がある
公園だ‼︎いいな?すぐ来いよ
江名本 翔
江名本 翔
えっ?優…
ピー…ピー
江名本 翔
江名本 翔
切れた…ん?
どういう事だろう?
今頃は、俺の代わりにメロさんに

会ってるはずじゃ?
まさか、もうバレたのか?

一応、言われた通り
公園に自転車で向かう。

あの公園なら15分もかからず、
到着するだろう。
キキッイ…自転車を止めて
公園に着くと優くんが、不機嫌そうな
顔で俺を睨んできた。
江名本 翔
江名本 翔
あれ?優くん…どうした
木嶋 優
木嶋 優
どうしたじゃねえよ!
やっぱり、お前の代わりなんて
できねえよ
江名本 翔
江名本 翔
バレた?
木嶋 優
木嶋 優
そうじゃなくて、自分で
僕がバラした。
江名本 翔
江名本 翔
はあ?
江名本 翔
江名本 翔
女の子
女の子
・・・
優くんの隣には、髪を左右お団子に
した俺と同じ歳ぐらいの女の子が
立っていた。
木嶋 優
木嶋 優
ほら、こいつが
ロイドだよ。
優くんが、俺を指差し
女の子が頷く。

優くんめ、自分でバラしたって
どういう事だよ?
江名本 翔
江名本 翔
ゆ、優くん…どうして
助けを求めるように、優くんに
声をかけたが…優くんは静かに
木嶋 優
木嶋 優
じゃ、後はお前が頑張るんだ。
僕は、できるだけのことはしたから。
そう呟いて、歩いてどこかに
消えてしまった。
江名本 翔
江名本 翔
あ…
女の子
女の子
どうしよう…この子がメロさん?
ダメだ…直視できない。

こうなることが、わかってたから
優くんに頼んだのに。
メロ
メロ
貴方が、ロイドくんなの?
江名本 翔
江名本 翔
あ、は…はい
メロ
メロ
じゃあ、さっきの方は…
江名本 翔
江名本 翔
俺の友達です。
メロ
メロ
江名本 翔
江名本 翔
ごめん。俺、メロさんに
会うと思ったら緊張しちゃって…
江名本 翔
江名本 翔
代わりに、友達に
会って来て欲しいって頼んだんだ。
江名本 翔
江名本 翔
いい加減な奴だろ?会おうなんて
約束したのにさ…
メロ
メロ
…そうかな?
メロ
メロ
私は、本当のロイドくんに
会えて今、とっても嬉しいよ。
江名本 翔
江名本 翔
え?
メロ
メロ
べつに、いいじゃない。
友達に頼んでも、最後は…ちゃんと
私に会いに来てくれた。だから、許す
江名本 翔
江名本 翔
メロさん…
メロ
メロ
最初から、なんか変だなって〜
思ってたんだよね。
メロ
メロ
ゲームの話しても、なかなか
噛み合わなし、それでもロイドくん
と会えたから…気にしないように
しようと思ったんだけどね。
江名本 翔
江名本 翔
俺だけじゃ、気持ちが立たせられなくて
ダメだった。さっきの友達のお陰だよ
江名本 翔
江名本 翔
彼女、本当にカッコいいよね。
肝が座っててさ
メロ
メロ
彼女?
江名本 翔
江名本 翔
うん…
メロ
メロ
!?さっきの方は、女の子だったの?
江名本 翔
江名本 翔
うん?うん…
メロ
メロ
やだ!私ったら…てっきり男の子だと
思ってた。気付かなくてゴメンなさい。
江名本 翔
江名本 翔
ああ、大丈夫だよ。
優くんは、半分男だから…
メロ
メロ
え?
江名本 翔
江名本 翔
彼女ね、ねっからの女の子好き
だから注意した方がいいよ。
俺が言うのも変だけどさ…ハハ
メロ
メロ
あのさ、そろそろ
本題に入らない?今日はそのために
会う約束をしたんだから。
メロさんは、ベンチに座ると
小さいバックから、スマホを取り出して

「騎士団と封印のドラゴン」の画面を開いた。
江名本 翔
江名本 翔
だよね、俺もそろそろ
話したくなってたとこ…
晴れた青空の下で、ゲームに
魂を燃やす2人の男女が

熱く熱く日が暮れるまで
ゲームの話をたくさんしたらしい。

その日の、夜…僕が風呂から
上がると翔からこんなL◯NEが届いてた。
しょう
しょう
優くん、今日はありがとう。
♪───O(≧∇≦)O────♪
ハッピ〜ウレピ〜⭐︎⭐︎⭐︎ルンルン
しょう
しょう
お陰で、メロさんと
たくさん喋れました‼︎( งᵒ̴̶̷᷅ωᵒ̴̶̷᷄)ง⁼³₌₃
しょう
しょう
ついでに、写真送っとくネ
✌︎('ω'✌︎ )イェーイ
木嶋 優
木嶋 優
ん?
そこには、なか慎ましく写る
ロイドとメロさんのツーショット
写真が送りつけられていた。

僕は、ムカついて「バーカ、バーカ」と
ふざけたスタンプを送ってやった。
木嶋 優
木嶋 優
なんだ、僕が心配する必要なんて
なかったな…
そっと、スマホを切り
僕は部屋を出た。

窓を開けると、夜空には
満天の星たちが輝いていた。

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