メロさんの第一印象は
こうだ。
優しそうな雰囲気で、大人っぽいけど
たまにからかってくる時もあるお茶目な人。
ゲームの事になると、一気に口調が
早くなったり専門用語を使ったりと
本当にこのゲームが好きなんだと思った。
僕がそう言いかけた時…
ファミレスに入っていこうとする
知り合い達が、目にとまった。
知り合いとは、間違いなく
僕の妹であろう唯とその彼氏
と思われる男だった。
まずいな、ここが一番近い
ファミレスと思って来たが、唯がいたんじゃ
良くないな。非常に良くない。
そもそも、今は翔の代役として
来てるわけで、僕の正体がバレかねない
からな…
メロさんは、ニコリと笑い
僕のおでこにコツンと軽く
こづいた。
翔なら、きっと…
こんなに気を使ったりしないだろうし…
もう少し気を抜いて、メロさんと
過ごしてみようか…
メロさんが、指を指したのは
噴水広場がある公園に来ていた
移動販売型のメロンパン屋さんだった。
僕が、名前を呼び終わる前に
メロさんは子供のように無邪気に
メロンパン屋さんへと走って行ってしまった。
僕も、メロさんの後を
追いかけて、その後2人でそれぞれ
味違いのメロンパンを買い
この広場から、歩いて5分もしない
バス停裏の公園のベンチで
メロンパンをほうばった。
高校生にもなって、公園で
メロンパンをかじりながら
日向ぼっこでもしているかのように
緩やかな時間が流れていた。
やっぱり違うよな、メロさんと
会話してて、わかったんだ。
メロさんが会いたかったのは、僕じゃなくて
翔の方だって事。
話とか、僕じゃ全然噛み合わないし
このままじゃ…良くないよな。
言うんだ。言わなくちゃ…
そうしないと、今日わざわざ
メロさんがロイドに会いに来た意味が
なくなっちゃうじゃないか。
僕は、メロさんに本当の
事を言う事を決めた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!