第16話

御子神家の使用人エレナ
35
2020/04/22 03:52
エレナ・レナルドフ
エレナ・レナルドフ
お嬢起きてください
御子神 椿姫
御子神 椿姫
ふあ〜まだ、眠いよう
エレナ・レナルドフ
エレナ・レナルドフ
…ハア
エレナ・レナルドフ
エレナ・レナルドフ
今日は、ゆう殿との
デートでは?
パチ…
御子神 椿姫
御子神 椿姫
デート?
私は、天蓋付きベッドから
転げ落ちると着ていたシルクのパジャマを
床に脱ぎ捨てた。
御子神 椿姫
御子神 椿姫
今8時?
エレナ・レナルドフ
エレナ・レナルドフ
いいえ。9時半ですが…
御子神 椿姫
御子神 椿姫
嘘でしょ…
私は、顔を真っ青にして
床に崩れ込む。

今日は、初めて優くんやまどかさん
ちひろさんとの、遊園地に行く
約束をしていた日だったのに…
御子神 椿姫
御子神 椿姫
もう…おしまいだわ
私は、大バカ者よ!
御子神 椿姫
御子神 椿姫
初めての友達との
遊びの日に寝坊してしまうなんて…
御子神 椿姫
御子神 椿姫
あっ!それに、なぜ今
「優くんとデートする」って
言ったの?エレナには、その事は、
教えてないはずなのに‼︎
私は、おこり気味に
使用人兼私のお世話係のエレナに
向かって叫んだ。
エレナ・レナルドフ
エレナ・レナルドフ
それは…オホンッ
お嬢の「マル秘ノート」を拝見した
時、今日は優くんとのデート♡
と書かれてあるページを見つけて
しまって…
御子神 椿姫
御子神 椿姫
そう、見たのね…私の
隠していたアレを
エレナ・レナルドフ
エレナ・レナルドフ
安心してください。
わたくしも、わざわざ見ようとした
わけではなく…
エレナ・レナルドフ
エレナ・レナルドフ
お嬢の部屋の掃除中にはたきを
かけていた時…偶然本棚の中から
ポロリと…な、わけでございます。
御子神 椿姫
御子神 椿姫
////ハァ〜そこまで丁寧な
説明ありがとう。私こそ急に
大声出してごめんなさい。
エレナ・レナルドフ
エレナ・レナルドフ
大丈夫です。慣れておりますので。
御子神 椿姫
御子神 椿姫
・・・
私の家は、裕福と言えば裕福
使用人も数人いて、エレナは、20歳と

いう若さで、ここの屋敷の責任者でもある。
だから、私の一番のお目付役で監視役なのだ。
エレナと出会ったのは、私がまだ
小さかった時だった…
御子神 春一(椿姫の父)
御子神 春一(椿姫の父)
椿姫つばきおいで
御子神 椿姫
御子神 椿姫
お父様?
私は、父に連れられて
花が咲き誇る大庭へと連れてこられた。
そして、そこに待っていたのは…
エレナ・レナルドフ
エレナ・レナルドフ
初めまして。椿姫つばきお嬢様
エレナ・レナルドフ
エレナ・レナルドフ
わたくしは、今日から貴女様に使える
エレナ・レナルドフでございます。
御子神 椿姫
御子神 椿姫
エレナ?
御子神 春一(椿姫の父)
御子神 春一(椿姫の父)
今日からこの子は、お前の…
お前専属のお世話係だ。
御子神 春一(椿姫の父)
御子神 春一(椿姫の父)
必要なことは、全て彼女に
頼みなさい。
お父様は、それだけ言い残すと
私に背を向けて扉に向かって歩き出した。
御子神 椿姫
御子神 椿姫
お父様、どこへ行くの?
もう出かけてしまうの?
御子神 春一(椿姫の父)
御子神 春一(椿姫の父)
私は、忙しいのだよ。
お前に構ってる暇は無い。
パチン
お父様が指を鳴らすと、エレナが
私の元に駆け寄り優しく手を握りしめて
くれた。
エレナ・レナルドフ
エレナ・レナルドフ
お嬢様、旦那様がお出かけに
なります。お部屋に戻りましょう。
御子神 椿姫
御子神 椿姫
ぐすっ…
私の手を握って微笑んだ
エレナの瞳は、透き通った薄い緑色だった。

吸い込まれそうなほど綺麗な瞳は、あの時
少しだけ涙が滲んでいた気がする。

後から聞いた話だけど、エレナのお父さんは
株に手を出して失敗し、その後会社が倒産。

そしてエレナを置いて、ある日突然
家を出て行ってしまったそうだ。エレナの
お母さんは、早くに亡くなっていた事もあり

昔お父様の元でNo.2として働いていた
エレナのお父さんに免じて、彼女をこの屋敷の
主に私専属の使用人として引き取ったらしい。

エレナは1人だった。家族もいない
知らない場所屋敷に来て…きっと
すごく心細かったハズ…

そんな事情は、小さかった私には
理解する事なんて出来なかった。
エレナ・レナルドフ
エレナ・レナルドフ
ほら、お嬢!
支度を早く整えてください。
エレナ・レナルドフ
エレナ・レナルドフ
優殿に、迷惑をかけますよ?
御子神 椿姫
御子神 椿姫
わ、わかってるって…
えっと…まずは
ティロン♫ティロン♫
御子神 椿姫
御子神 椿姫
あ、スマホが鳴ってる
ピッ-
スマホをタッチすると
電話を取った。
御子神 椿姫
御子神 椿姫
もしもし、優く…
木嶋 優
木嶋 優
あの!御子神ちゃん
御子神 椿姫
御子神 椿姫
あ!はいっ
木嶋 優
木嶋 優
ゴメン、今日行くはずだった
遊園地しまってた。
木嶋 優
木嶋 優
アトラクションの整備の日とかで…
御子神 椿姫
御子神 椿姫
そんな…
ダメ、ダメ‼︎
せっかく優くんと休みの日に

会えるチャンスなんだから!
逃したくない。
木嶋 優
木嶋 優
残念だけど、今日は…
御子神 椿姫
御子神 椿姫
あの、私の家に来ませんか?
木嶋 優
木嶋 優
え?
優くんと、会いたいがために…
気付けば私はそう口にしてしまっていた。

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