私は逃げてきた
親から、学校から、生活から…
私は公園の椅子に座る
夕陽がいつもよりキレイに見えた
何故かとっさに木の陰に隠れた
こんなところバレるに決まってる。
緑色のパーカーを来ている男性が話しかけてきた
足が震える、声が出ない
また殴られる、いい加減にしろって
私はその場にしゃがみこんで泣いてしまった
迷惑をかけるなんて分かってる
怖い
タタタタタッ
気が付いたら走っていた
逃げたってどうにもならない
迷惑なだけだ
ここに逃げてきたのも現実逃避ってだけ
結局いつかは帰らないといけない
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どれくらい走ったのか、全く知らない場所に着いていた
暗くなり始めている
早く、寝泊まりできるところを探さないといけない
泣いちゃ、駄目だ
また思い出してしまうから
力強く腕を引っ張られた
怖い、助けて、殴られる、切られる、蹴られる
私は咄嗟に目を閉じた
…その後に鈍い間接音が鳴った
さっきの男性はアスファルトの上で大の字になって倒れていた
少し遠いところでパーカーの人が話しかけてきた
パーカーの人は満面の笑みで私を見た
ついこぼれてしまった
普通に笑える人が、羨ましくて
やっぱり喋るとなると継ぎ接ぎになってしまう
でもパーカーの人は気にせず話を進めてくれた
私は流されるがまま、パーカーの人に着いていった
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髪に赤いメッシュが入った男の子がびっくりした顔で私を見てきた
続いて獣耳の生えた白髪の男の子が言った
こんなに注目されることになるなんて…
青い髪の男性が言ってきた
紫のメガネをかけた男性が哀れむような声で言った
茶髪の男性が言ってきた
水色の髪をした女の子が言ってきた
白髪の王子様のような男の子が言った
…え、カエル?
茶髪のロングの子が私をフォローするように言った
ピンクの髪をした女の子が言った
私の第二の人生が、幕を開けた
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!