“逃げろ”ぉ?
残念、絶対ぇ逃げてやんねー。
キヨマサ、君が哀れで憐れで仕方がないよ。
さぁ、
鳥頭かこいつ。
「何言っちゃってんだてめー!?どうみてもてめーの負けだろーが!!」
お、キヨマサ青筋立ったな。
するとそこまで黙っていたドラケンが喋り始めた。
と息を切らしながらそう言った。
と皆ドラケンに続く様に金額を提示した。
キヨマサは口角を上げる。
うるさい笑い声が響く。不快、汚い、気持ち悪い、そんな笑い声。
そんな声の中で、
ドラケンの声はよく聞こえる、綺麗な声だった。
そう言った瞬間、私は右足を下ろして踵落としをしようとする。
キヨマサが右手に短刀を持っていたることを知ってるので、空いている左手でキヨマサの右腕を掴む。
ガガンッッ
私の足はキヨマサの頭に直撃した。キヨマサは声にならない叫びを上げる。
短刀をこちらに刺そうと走ってくるキヨマサ。
下に屈んで背後に立ち、首に回し蹴りを喰らわす。
ゴキィィッッ
「……っだったらなんだよッッッ!!!!!」
次々と襲ってくるキヨマサ一派。
某男の首を腕で絞めた。
気絶した。
某男の頭に踵落としを喰らわせた。
気絶した。
某男の顎を爪先で蹴りあげた。
気絶した。
まだいる男。しかし怯える男。
殴る。
気絶させる。
「お、おいあなたのみょうじ!!女が怯えてるぞ!!」
「やめろよ!!!!」
短刀がどんどん私に向かって振り下げられていく。
何もない虚空から、突如として漆黒の刀が現れた。
ギュルルルルルル
呪詛が身体中を駆け巡る。
鬼が囁く。
絶 対 に 諦 め な い 。
カキイィィィィィィンッッ!!
甲高い金属がぶつかる音が響いた。
私はゆっくり後ろを振り返り、薄く笑った。
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。