菊池side
あれから数ヶ月後、怪我の調子もだいぶ良くなってきたけど、歩けるまではまだまだの状態
「肩貸すわ」
中島「さんきゅ」
リハビリも少しずつ始まってきて、ほんのちょっとだけど俺の肩を使って歩けるように
中島「んぁ!いってぇ!」
でも、怪我が完全に治ったわけじゃないから、少しの衝撃でも結構痛いみたいで
「え、ちょっどーすればいい?」
どーしてあげるのが正解なのかも分かんないし、下手に動かしてまた悪化してもダメだから中島に聞きながらのリハビリ
中島「待って、そのままでいい」
「ん、おっけ」
少しずつだけど、進めてる中島
あんだけの状態から数ヶ月でここまで来れるのは凄いって看護師さんとかも言ってて
それは、中島の根性なのかなって
中島「俺、歩いてみる」
「は、マジで言ってんの」
中島「マジだよ笑」
「え、やばいって」
やってる本人は出来るって思ってるかもだけど、どんな感じの痛みなのかも分からない俺にとっては不安ばっか
「ねぇまじで行けんの?」
中島「大丈夫だって」
「俺を信じろ」
「あぁ」
支える手を離せばぐらっとバランスを崩したもののすぐに元に戻って
ほんとにちょっとだけど確実に前には進んでる
「すげぇ」
多分、これが俺の今の気持ちだと思う
中島「な?言っただろ?」
「うん」
コイツ改めてすげーなって
流石エース
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。