第2話

『神代桜』
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2020/04/18 03:28 更新
「朝だよ、紫月。」
「ん…ありがとうクヌギさん」
朝。
庭に植えられたクヌギさんに起こされ、私はのそのそと布団から出た。
「あら、早いのね紫月。」
「ん。」
階段を降りた先に母親が居たが、ゆっくり話すつもりも無かったので台所に向かった。
そして、簡単な朝食を作ってそそくさとたいらげ、食器を洗い、片付けた。
「紫月…あんたまた植物とかと話してないでしょうね…?」
五月蝿い、あんたには関係ないじゃない。
「ちょっと紫月!」
母親を無視して、自室に戻った。
我が家なのに、なんか居づらい…。学校もそうだけど。
「何かあったの?」
「うん、ちょっとね。ありがとう、クヌギさん。」
「何か出来ると良いのになぁ…私は秋につやつやどんぐりあげる事しかできないからなー」
「別に大丈夫だよ。じゃあ、行ってくるね!」
「行ってらっしゃい」
まぁ寄り道するんだけどw
学校から少し離れた池に、私は向かった。
そして、声をかけた。
「おはよ。ヒガン!」

私は生まれつき植物の声が聞こえる。
でも、他の人達は勿論、理解なんて出来ない。だから、同年代の子達には苛められ、家族からは疎まれていた。特に母親には、一回精神病棟に入院させられかけた…。
植物は皆優しかったけれど、自分が生きるのに忙しくて、ご近所さん程度の付き合いだった。
トモダチって何だろう?
そう考えていた私に、声をかけてくれたのが、ヒガンだった。
神代桜という、長寿の桜の精。着物を着た少年の姿をしていて、実際は1500年ほど生きているらしい。
でも、人間が好きでも、話すことが出来なかったし、姿も見られる事が無かったようで、いきなり名前をつけろと要求された…( ˆ꒳​ˆ; )
エドヒガンザクラの仲間らしいので、一応ヒガンと名付けた。


「最近どう?紫月」
「相変わらず親はアレだし苛められてるよ…」
「僕に出来る事ならするよ?」
ヒガンがフワリと桜の花弁を降らしてくれた。
「大丈夫…ってヒガンは桜じゃん…」
「一応『守桜様』っていう神様みたいな存在なんだけど!?」
「ここら一帯の守り神みたいな感じなんでしょ?」
「うん。人に幸運を与えたり、不運を与えたりなら…」
「それで人々を弄んだと。」
「してないわ!!」
まぁヒガンは人間好きだしね。私と大違いだ。
人間も植物みたいに心が美しいと良いのに。
「そろそろ時間だ!行ってくるね!」
「なんかあったら言いなよ!」
オカンか!!

ヒガン視点
僕には人間の友達が居る。紫月って子で、僕の姿が見えているみたい。
紫月は、僕達と話せるから、他の人間に苛められているって言っていた。
紫月は、心がどんな人間よりも美しい。だから、僕が幸運を与えていたけれど…
心に抱える闇が、僕の力を消してしまう。
今日も、紫月が辛くないといいけど。
僕は、何も出来ないのかな…

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