私は大きな背伸びをしてベッドに倒れ込む。
ここは私の部屋。今は皆で休憩中。
鈴華が溜息をつき、先程運ばれてきた水を一気に飲む。
ちなみに私達はさっきまでロズリーヌさんの指導を受けてたから、多分その事かな?
花霞と鈴華は話で盛り上がっているようだ。
普段よりテンションおかしいのは疲れてるから、かな?
結萌ちゃんは盛り上がっている2人をみて苦笑いし、私のベッドに静かに腰掛ける。
私は起き上がる気力もないのでベッドに突っ伏したまま、そう答える。
確かに、クタクタの私と鈴華と花霞に比べて、結萌ちゃんは全然息が上がっている様子もない。
恋は運動神経いいし、分かるけど。
確かに、あの騒動の時は1番疲れていたような。
恋がそう聞くと、結萌ちゃんはちょっと笑って、
裏で特訓でもしてたのかな?
なら誘ってくれればいいのに……こんなことになるなら喜んで参加してたよ……
頭でそう考えながら、1度深呼吸する。
私は誰に言うでもなく、ぽつりとつぶやく。
私の様子を見て、鈴華が声をかけてくれる。
私は少し元気が出てきたので、「よっこらせ……」とかすれ気味の声で言いながら勢いをつけて起き上がる。
すぐさま恋がツッコミを入れてくる。
そんな私達のやり取りを見て、他の3人がケラケラと笑う。
鈴華が改めて私に聞いてくる。
私のその話を聞いて、花霞が「あ~!」と突然大きな声あげる。
結萌ちゃんがビクッと肩を震わせ、花霞にそう問いかける。
花霞が何かスッキリしたような顔でそう答えた。
大声を上げた割には大したことない内容だった為か、恋の対応が素っ気ない。
花霞は興奮した様子で立ち上がる。
1人で盛り上がっている花霞に戸惑いを隠せない。
「結萌」ちゃんが「夢」について聞くというダジャレみたいな状況が出来上がる。
まるで私の考えていることなんて見透かしているかのように鈴華が私に向かってそう言った。
花霞がムッと少し怒った顔になる。
花霞は怒らせると怖いので、素直に姿勢を正して話を聞く体勢にする。
さっきのムッとした顔から一転し、花霞の表情がパァっと明るくなる。
恋は半信半疑のようだ。
予知夢か……私は見たことないから分からないけれど、それってこの先起こることも全部分かるってこと?
あ、やっぱり分かるんだ。
恋とは反対に、結萌ちゃんは信じてるっぽい。
花霞がそこまで言いかけた時、
なんと、本当にニコレットちゃんが来たのだ。
本人含め、皆騒ぐのでニコレットちゃんはとても困惑していた。
と、ニコレットちゃんが苦笑いで去ろうとするので皆で慌てて引き止めた。
ニコレットちゃんが私にそう聞いてくる。
私が答えるより先に花霞が口を開く。
恋にそう言われ、またもや花霞はムッとする。
そうして皆口を噤む。
でも少ししてもロズリーヌさんが部屋に入ってくることは無かった。
そう言ってチラッと花霞の方を見る。
花霞は面白くなさそうに頬ずえをついている。
突然ニコレットちゃんが静かにそう言った。
それは丁度私も気になっていたところだ。
花霞は空中に目線を彷徨わせる。
内容を思い出しているようだ。
うんうん、確かにそこまでは今日あったことだね。
話?そこの内容は覚えてないのかな。
話を終えた花霞はちょっと笑って目を伏せる。
それを見た結萌ちゃんが静かに立ち上がり、花霞の隣に行く。
そう言って花霞の背中を優しくさする。
それ言っちゃったら花霞もっと悲しむ気が……
花霞がぱっと顔を上げる。
え、声だけの夢って何。
それは変な夢だな~。
鈴華が目を丸くする。
花霞がそう言いかけた時、部屋の扉が開いた。
ロズリーヌさんは相変わらず無表情。
って……
え、本当に来た!?
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!